東京電力パワーグリット

ブレーカーが落ちる3つの原因と復旧と対策

自宅で突然電気が消えることがあります。
原因は、その時々によって違いますが、「ブレーカーが落ちる」ことが原因の大半として考えられます。

私たちは、「ブレーカーが落ちる」と簡単に言ってしまいますが、ブレーカーにはどんな役割があるのでしょうか?そして、ブレーカーが落ちることに、どんな意味があるのでしょうか?

今回は、ブレーカーが落ちる原因から、復旧方法と落とさないポイントをご紹介します。

1. ブレーカーの役割と種類について

私たちの生活に欠かせない電気は、電力会社(小売電気事業者)と契約することで供給され、使用することができます。
電気を安全に使用するために設置されているのが「ブレーカー」です。

この章では、ブレーカーの役割と種類について詳しくお伝えいたします。

1-1. ブレーカーの役割

電力会社から家庭に供給される電気は、分電盤を介して各部屋へと分配されていきます。
ブレーカーは、この分電盤の装置であり、家庭で安全に電気が使用できるように異常を感知して電気を遮断し、人や機械を守る役割があります。

1-2. 3種類あるブレーカー

ブレーカーは3種類あり、さらに役割が分担されています。
それぞれの役割をご紹介します。

アンペアブレーカー

電力会社と契約している電気の大きさを管理しているのが、アンペアブレーカーです。
家庭(建物全体)で使用される電気の大きさを確認しながら、一定以上の電気が同時に使用された時に落ちます。

※スマートメーターが取り付けられているご家庭の場合、スマートメーターに内蔵されているアンペアブレーカーの機能により契約アンペアを設定している場合があります。この場合アンペアブレーカーは取り付けられておりません。(使いすぎの場合は10秒後に自動復旧します)

スマートメーターのアンペアブレーカー機能により契約アンペアが設定されている場合の例

基本的に、アンペアブレーカーが落ちる時には、建物全体の電気が消えてしまいます。

漏電ブレーカー(漏電遮断器)

家庭の中で漏電している場合に、漏電ブレーカーが落ちます。
家電製品の故障や配線などの破損によって、電気が漏れてしまうことがあります。
これを漏電といい、感電や火災が起こってしまう危険もあります。

漏電は非常に危険な状態であるため、漏電ブレーカーが落ち、そこから先の以降の電気をストップします。(基本的には建物全体が停電します)

さらには、人命に関わることがあるので、漏電ブレーカーが落ちた時には、放置せずにすみやかな対処が必要です。

安全ブレーカー(配線用遮断器)

アンペアブレーカーと同様に、一定以上の電気が流れると安全ブレーカーが落ちます。また、使用中の電気機器の故障やコードの痛みが原因でショートした場合にも落ちます。
アンペアブレーカーと違うのは、安全ブレーカーがつながる先が場所ごとに分かれていることです。
「リビング」、「キッチン」、「浴室・洗面所」という感じに分けられています。また、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの200V機器は専用の安全ブレーカーが付いています。)
そのため、安全ブレーカーは、配線に過剰な電気が流れないように使いすぎやショートした機器のある回路のブレーカーが落ちる仕組みになっているのです。

お家の一部が停電した場合は、安全ブレーカーが落ちている可能性があります。

2. ブレーカーが落ちる主な原因は3つある

ブレーカーそれぞれの役割が分かったところで、ブレーカーが落ちる原因をより詳しくご紹介します。

2-1. 契約アンペア数を超えている

契約アンペア数はご家庭ごとに、電力会社との契約によって異なります。

実際に、一般的な家庭の契約アンペアは10A~60Aが基準となりますが、オール電化住宅等では10kVA(100A)や15kVA(150A)といった大きな契約を結ぶ場合があります。

建物の大きさや、同時に使用する電化製品などを考慮し、アンペア数が決められます。
電気の使い過ぎで契約したアンペア数を超えてしまうと、ブレーカーが落ちてしまいます。

2-2. 漏電している

電気は、決められた回路を通ります。

例えば、電化製品はケーブルを通して電気が流れます。ケーブルは電気が安全に(漏れないように)流れるように、電気を通さない物質で覆われています。

しかし、漏電が起きるということは、その回路につながるケーブルや電化製品に問題が起こっていることを意味しています。

電気が安全に使用できる状態ではありません。

ブレーカーを点検する男女

2-3. ショートや一部での電気の使い過ぎ

ブレーカーが落ちる原因として、「ショート」や「同時に大きな電気を使用している」ことが挙げられます。そして、落ちるブレーカーによって、停電する部分が異なります。

・アンペアブレーカーや漏電ブレーカーが落ちれば建物全体の電気が消える
・安全ブレーカーが落ちれば建物の一部分が電気が消える

気をつけて欲しいのは、電力会社と契約したアンペア数以内であっても、一部分で多くの電気を使用すると安全ブレーカーは落ちます。
また、電化製品やコードがショートした場合は、電気を使い過ぎていなくても安全ブレーカーが落ちてしまいます。(ショートした場合、アンペアブレーカーや漏電ブレーカーが落ちる場合もあります。)

3. ブレーカーを復旧させる方法

様々な原因によって、ブレーカーが落ちることが分かりました。

ブレーカーが落ちたままでは、電気がつかない状態になるので、ブレーカーを復旧させる必要があります。

3-1. アンペアブレーカーの復旧方法

アンペアブレーカーは、契約アンペア以上に同時に多くの電気を使用していることが原因で動作します。

① まず使用している電化製品や、照明器具などを「OFF」の状態にします

② 電源をOFFにしたら、分電盤の「アンペアブレーカー」のスイッチが下がった状態になっているのでこれを上げてください

③ 復旧後は、同時に使用する電化製品の数を減らしてください

3-2. 漏電ブレーカーの復旧方法

漏電ブレーカーを復旧させるには、漏電している場所を特定する必要があります。

場所を特定するために、簡単な操作で点検をしていきます。

① 全てのブレーカーのスイッチを下げます

② アンペアブレーカーと漏電ブレーカーのスイッチを上げます

ブレーカー

③ 安全ブレーカーのスイッチを一つずつ上げていきます

ある1つの安全ブレーカーを上げた時に、漏電ブレーカーが落ちたら、その回路が漏電している可能性があります。

この場合は、漏電している場所の安全ブレーカーは下げておいてください。応急処置にはなりますが、漏電していない他の部分では電気を安全に使用することができます。

3-3. 安全ブレーカーの復旧方法

安全ブレーカーは、家庭内(建物内)の分配されている回路ごとにスイッチがあります。

① どこの安全ブレーカーが落ちたのかを確認してください。
(落ちたブレーカーにつながる回路で、ショートか同時に多くの電気が使用されていることが疑われます。)
② 停電した場所の電化製品をコンセントから外してください。

(コードに傷やコゲがある場合、ショートしている可能性がありますので、コンセントから外したままとしてください。)
③ その後、安全ブレーカーのスイッチを上げて復旧させてください
なお、安全ブレーカーにそれぞれどの部屋につながっているのかを表示しておくと便利です。

4. ブレーカーを落とさないポイント

できることなら、ブレーカーを落とすことなく電気を安全に利用したいですよね。
ここでは、ブレーカーを落とさないポイントをご紹介します。

4-1. 電気を利用する時間や場所を見直す

どうしても、電気を同時に使用する時間や場所は発生してしまいます。

例えば、朝のキッチンでは、炊飯器、電子レンジ、電気ポットなどを同時に使用します。かなりの電気が一度に回路に流れることになります。

しかし、1つの安全ブレーカーに流せる電気は20A(2,000W)なので許容量を超えてしまい、ブレーカーが落ちてしまうのです。

こうした場合の対処として、以下のように工夫してください。

・使用する時間をずらす
・使用する場所を変える
(別回路のコンセントから電気を使う)

ご不便であれば、電力会社や電気工事店等に相談をして、回路およびコンセントを増設することを検討してください。

電力会社と相談する男性

4-2. 契約アンペア数の変更を考える

電力会社と契約してから年数が経てば、家族が増えるなど家庭の状況が変わることが考えられ、契約したアンペア数では足りなくなることがあります。

また、近年では温暖化が進み、夏には40度近い気温になります。自宅でエアコン(冷房)の使用頻度が上がっている家庭もあります。

契約した以上のアンペア数を使用することが明確なら、契約している電力会社(小売電気事業者)に連絡して契約を見直すこともブレーカーを落とさないポイントになります。

4-3. ブレーカーの故障を疑う

同時に多くの電気を使用していない、ショートもしていない、漏電もしていない。それでもブレーカーが頻繁に落ちてしまうというケースがあります。

こんな時には、家庭での電気の使い方や配線のトラブルではなく、ブレーカーそのものの故障が疑われます。

ブレーカー自体の交換推奨時期は13年~15年程度と言われており、長く使用することで経年劣化により誤作動してしまうことがあります。

何度もブレーカーが落ちるのは、生活においてストレスになります。早い段階で電力会社や電気工事店等に相談してみましょう。

5. こんな時は電気の専門家に頼る

電気に関するトラブルは、感電や火災などの危険を伴います。そのため電気工事や修理ができるのは、有資格者のみと法令によって定められています。

そして、放置しておくことが最も危険ですから、早急に対処する必要があります。

5-1. 周辺一帯が停電している

家庭内だけでなく、周辺一帯が停電しているというケースがあります。
周辺一帯が停電する原因としては、2つのことが考えられます。

・電柱等の配電設備の設置・点検を目的とした計画停電
・自然災害や事故による停電

前者であれば、事前の告知やチラシ等で、状況を確認することができます。復旧まで待ちましょう。

後者の場合は、電力会社(一般送配電事業者)にて対応します。
弊社HPでも停電状況についてお知らせしておりますので、ご確認をお願いいたします。

東京電力パワーグリッド停電情報 

5-2. 漏電でブレーカーが落ちた時

漏電によってブレーカーが落ちた時には、家庭内で対処することは避けてください。
正しい回路から電気が漏れているため、万が一触れてしまった場合は、人体を伝わり電気が流れてしまいます。感電は人命に関わるため非常に危険です。

可能であれば、ご紹介したようにブレーカーを操作して、漏電している場所を特定してその部分の安全ブレーカーを「切」にしておいてください。
特定できない時には、むやみにブレーカーを操作せず、速やかに、電力会社または電気工事店等に連絡をして安全点検をしてもらうことをおすすめします。

ブレーカーを点検する男性

6. まとめ

私たちの日常生活において、電気は欠かせないものですが、時にブレーカーが落ちてしまうことがあります。
ブレーカーが落ちる原因のほとんどが、同時に多くの電気を使用しているケースです。

ブレーカーが落ちてしまった時には、一度「電気の使い方を見直してみる」ことをおすすめします。

・複数のエアコンがある場合は、運転開始時間をずらす。(立ち上がり15分程度は大きな電気が流れます)
・電子レンジ、電気ストーブ、ドライヤーなどの消費電力が大きい家電製品はなるべく同時に使わない。
・同じ安全ブレーカーにつながっている照明やコンセントを把握し、使用する機器が2,000Wを超えないように気をつける。

これらを意識することで、ブレーカーが落ちにくくなります。

それでも、ブレーカーが落ちてしまうのなら契約アンペアを見直したり、安全ブレーカーおよびコンセント を増設するのもよいでしょう。

電気と安全に上手に付き合っていきましょう。

なお、東京電力パワーグリッドではお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスを実施しています。

  • 電気設備の点検をしてほしい
  • 漏電していないか心配なのでみてほしい
  • プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
  • ブレーカーやコンセント・スイッチを取り替えてほしい

こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。お気軽にご相談ください。
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