コンセントを増設するための4つのポイント
建物を新設・増設した後に、「ここにコンセントがあったら便利なのに」と思うことはありませんか?
簡単にコンセントを増設できたらいいのですが、コンセントの増設は有資格者でなければ対応できず、自分では工事することができません。
今回は、コンセントを増設する際の注意事項や、その方法と種類についてご紹介します。
1. 電気工事には資格がいる
電気工事の多くは、電気工事士などの資格を持つ電気工事店等の工事会社や、有資格者でしか施工することができません。
1-1.無資格で施工すると罰則がある
電気工事によるトラブルや事故を防ぐために、電気工事士法に基づいて有資格者でなければ、電気工事の作業に従事してはならないことが明確に記されています。
つまり、法令を破れば、懲役または罰金刑といった罰則が課せられてしまいます。
1-2.無資格工事による災害の危険性
なぜ、そこまで電気工事について、徹底されているのでしょうか?
どんなに簡単な作業に見えても、施工時や施工後の災害の危険性があるためです。
例えば、作業中に感電してしまったり、施工不良により、火災や感電といった人命にかかわる災害につながるおそれがあるため、無資格者には電気工事を認めていません。
2. コンセントを増やすための2つの工事
コンセントを増設する工事は、2つのパターンがあります。
2-1.新しく設置場所を増やす
希望する場所に新しくコンセントを増やすことをいいます。
コンセントを増やしたい場所に、増設することができるのか、事前の調査が必要です。
2-2.差込口を増やす
元々あるコンセントを取り替えて、差込口の多いコンセントに取り替えます。
配線は来ているので、差込口を増やすだけの工事を行います。
例えば、2口コンセントから3口コンセントへの取り替えは、比較的容易な工事に思えるかもしれませんが、前述のとおり電気工事店や有資格者が実施する必要があります。
3. 増設方法は2種類
コンセントを増設する際の配線方法は2種類あります。工事を始める前に、事前調査をして配線ルートを確認して、増設方法を決めていきます。
3-1.既存の配線に接続する
新しくコンセントを増設したい場所の近くに、既存の配線があれば、その配線を分岐して利用します。配線を引く距離が短いため、専用配線に比べると安価で済みます。
しかし、この方法は、同じ回路の安全ブレーカー(配線用遮断器)を共有することになるので、既存の照明や機器と新たに設置した機器を同時に使用すると、その安全ブレーカーが落ちてしまうことがあります。
1つの安全ブレーカーから同時に使える電気は、100ボルト回路の場合、消費電力の合計が2,000ワットまでです。
3-2.分電盤から新しく配線を引く
分電盤は、漏電ブレーカーや安全ブレーカーといった電気を安全に使うための装置が収まった箱で、建物内のそれぞれの部屋につながる電気配線に電気を分配しています。
消費電力が1,000ワット以上の機器を増設するような場合は、分電盤から新しく専用配線を引くことをおすすめします。専用配線にするためには、分電盤に空いている回路があるのか確認が必要です。
もし、空き回路がない時は、分電盤も新しくすることをご検討ください。
4.増設するコンセントの2つの配線方法
コンセントを増設する時に考えなくてはいけないのが、コンセントまでの配線方法です。
こちらも2つの種類があります。
4-1.露出配線
増設するコンセント用の配線を壁や天井に沿わせるなど、見えたままに工事する方法です。
露出配線でコンセントを増設すると、施工は容易ですが、延長コードのように長い電気配線が部屋を通ることになり、見た目はあまりよくありません。
工事費自体は安くなるので、本人希望の場合は問題ありませんが、屋根裏や床下、屋外の壁面など室内から見えないところに配線を通すことができない場合には、やむなく露出配線でコンセントを増設することになります。
露出配線の場合は、「ケーブルモール」にケーブル配線を通して配線を目立たせなくする施工方法もあります。壁や壁紙と同系色のケーブルモールを選ぶことで、配線が通っていることをカモフラージュして、見栄えをよくすることができます。
4-2.隠ぺい配線
増設するコンセントの配線を隠す工事方法です。
建物を建設する時、電気配線は天井裏や、床下、壁の中などに収めて目立たないように配線してあります。これと同様に増設するコンセントの配線を壁の中に納める配線を隠ぺい配線と呼びます。
室内からは配線が見えないようにするために壁に穴を開けて屋外の壁面に配線するという方法もあります。できた穴から配線工事をしてコンセントを増設することができます。
まずは、電気工事店と相談して、自分の希望を伝えたうえで現地を確認していただき、最適な配線方法を提案してもらいましょう。
5.増設できない場所
建物の中なら、どこでも増設できるわけではありません。
コンセントを増設することで生活が便利になることよりも、まずは「増設する場所が、安全な場所であるか」が重要になります。
例えば、キッチンや洗面所などで、水しぶきが直接かかるような場所にはコンセントの増設はおすすめできません。水は、水に含まれる不純物により電気を通しやすい性質があるため、水しぶきがかかるような場所に設置すると漏電や感電のリスクが高まります。
そうは言っても、キッチンにはハンドミキサーや電気ケトルを使いたいときなど、手元にコンセントがあると便利です。シンクとコンロの間の調理スペースのカウンターであれば、水しぶきや油はねから距離を置けます。
キッチンカウンターをリフォームする時にあわせてコンセントを増設すると、きれいに工事できるでしょう。
他には、分電盤が1階にあり2階に増設したい場合には、増設が可能でも配線を隠す隠ぺい配線の工事ができないことがあります。建物の構造により、後からコンセントを増やすのは困難な場合がありますので、新築時に余裕をもってコンセントを設置しておくことをおすすめします。
6. 適正価格で電気工事をする
コンセントの増設は、無資格の人にはできませんので、電気工事店等の工事会社に必ず依頼してください。
ここでは、適正価格で電気工事が依頼できるようにポイントをご紹介します。
6-1.埋め込みと露出の違い
配線を壁に隠す隠ぺい配線と、配線を見えたままにする露出配線とでは工事費用に違いがあります。
やはり、工事費が高いのは隠ぺい配線です。
6-2.現場を見てもらう
コンセント増設をするために、現場に来てもらい、事前調査をしてもらいましょう。
・コンセントの取付け希望位置
・既存配線の調査およびコンセントまでの配線ルート
・分電盤のブレーカー容量および予備回路の有無
コンセントを新しく増設する場合には、まずはこちらの希望を伝えましょう。
そのうえで取付けたい場所までの配線方法や配線ルートを検討します。
配線の調査は、壁や天井裏の配線がどのように配置されているか。また、分岐して新しいコンセントを増設させることができるか確認をします。
そして、分電盤のブレーカー容量や予備回路の中で増設することが可能なのかを調査します。
6-3.見積もりをとる
見積もりを取ることで、これまでお話した現状設備の確認や費用規模を把握することができます。納得できる工事方法や価格で工事してもらえる信頼できる会社に依頼しましょう。
7. まとめ
コンセントの増設について、ご紹介しました。
簡単な工事にも思えますが、無資格の人は行うことができません。電気工事は、必ず有資格者や電気工事店等に依頼してください。
また、電気配線は壁や天井裏にと、見えない部分に配線されています。これらを活かして増設することもできます。
事前調査や見積もりをしてもらい、分からないことは確認して納得のいく工事をしてもらいましょう。
これまでの住宅では、収納にコンセントをつけることはあまりありませんでした。最近では、充電式のコードレス掃除機が普及してきていますので、そういった掃除機を充電しながら収納したい場合は、あらかじめ収納場所にコンセントが設置してあると便利です。
また、キッチンで使う家電製品も増えていますので、使いやすい場所に余裕をもってコンセントが設置してあると快適に家電が使えます。
一度、自宅のコンセントを見直してみてはいかがでしょうか。
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