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電気使用量が多くなる!?4つの主な原因とその対策について徹底解説

「なんだか今月、電気使用量が多いなぁ」とびっくりしたり、原因が分からずモヤモヤした経験はありませんか?

それはもしかしたら、思わぬ家電製品の使用方法や、ライフスタイルの変化、または家電製品の故障などが原因になっているかもしれません。
家電製品の使い方やお手入れを意識したり、省エネな家電製品に買い換えるなどして、無理なく省エネしませんか?

ここでは電気使用量が算出される仕組みから、使用量が多くなってしまう主な原因4つと、それぞれの対策方法についてご紹介していきたいと思います。

1.家庭で使われる電気使用量の平均

まずはご家庭の電気使用量(消費電力量)が、国内の平均と比較してどうか見比べてみてください。
なお、以下にお示しする数字はあくまでも総務省統計局がまとめた平均値ですので、参考として捉えてください。(以下に掲載するデータは、全て2人以上の世帯のデータで、小数点以下第一位で四捨五入しています。)

・2人以上世帯の平均電気使用量 年間4,907kWh、月平均409kWh

季節によっても電気使用量が多なる時期や少なくなる時期があります。
・電気使用量が多くなる時期・・・1~3月(531~559kWh)
・電気使用量が少なくなる時期・・・5~7月・10~11月(314~361kWh)

また、年齢によってライフスタイルも変化することから、年齢層によっても電気使用量が変わってきます。
<世帯主の年齢階級別平均電気使用量>

世帯主の年齢層 ・年間消費電力量 ・月平均消費電力量
~29歳 3,123kWh 261kWh
30~39歳 4,357kWh 363kWh
40~49歳 5,205kWh 434kWh
50~59歳 5,226kWh 436kWh
60~69歳 5,013kWh 418kWh
70歳~ 4,720kWh 393kWh

出典:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)平成30年(2018年)年報-二人以上の世帯

このように、季節やライフスタイルによって使用量は変動します。
また、お住まいの地域が暑い地域か寒い地域かなどによっても変動するため、あくまでもこれらのデータは全国平均の参考値です。

しかしながら、この中でも共通して言えることは、
・ライフスタイルの変化により世帯人数や在宅時間が増えるほど、電気使用量が多くなる
・冬に電気使用量が多くなり、春秋は電気使用量が少なくなる
ことです。

まずはこの考え方をベースに、ご家庭の電気使用量が多く感じているのはいつなのか、思い返してみましょう。

2.電気使用量を決める2つの要素

2-1.そもそも電気使用量ってどうやって決まるの?

電気使用量(消費電力量)の単位は、kWh(キロワットアワー)ですが、これは消費電力(キロワット)に時間(アワー)をかけたものです。

・電気使用量(kWh)=消費電力(kW)×時間(h)

すなわち、消費電力が大きい家電製品を長時間使うと電気の使用量が多くなるということになります。

2-2.どんな家電製品がどれくらい電気を使うの?

みなさんのご家庭にある家電製品を見てみると、その多くに消費電力「W(ワット)」もしくは「kW(キロワット)」が記載されています。

これは、「一定の条件下で最大どれだけ電気を使う製品か」の目安です。
この「消費電力」の数値が大きければ大きいほど、たくさんの電気を使う機器だと言えます。※1kW=1,000W

また、家電製品の「消費電力」に加えて、「どれだけの時間にわたって機器を使ったか」も電気の使用量に影響します。

例えば、消費電力800W(0.8kW)の電気ストーブを5時間使用した場合、4kWhの電気を使ったことになります。
・電気使用量=消費電力0.8kW×5時間=4kWh
※1kWhあたりの電気料金はご契約の電力会社(小売電気事業者)や契約する料金プランによって異なります。

たとえ消費電力の大きな家電製品を使ったとしても、使う時間が月間で数時間なら、月々の電気使用量に与える影響はわずかだと言えます。

3.電気の使用量が多くなる原因4つとその対策

3-1-1.夏冬に電気使用量が多くなるのは「冷暖房機器」が原因

夏や冬に電気使用量が多くなってしまうのは、エアコンやストーブなど冷暖房機器の使用量が増えることが原因です。

エアコンは、ヒートポンプという空気中にある熱を集めて移動させる仕組みにより、1の電気で3~7倍ほどの熱を移動させることができるエコな製品です。(電気ヒーターは1の電気で1の熱を発生させるとした場合の計算値。1の電気で○倍の熱といったエアコンの効率は 通年エネルギー消費効率APFの値から引用したもので、APF7以上の製品もある。)
近年のエアコンはセンサーや気流など快適性に配慮した製品も販売されています。
ただし、快適であるがゆえ、在宅時間中は常に稼働しているなど稼働時間も長くなりがちです。

皆さんの中には、夏や冬の間だけ電気使用量が多くなってしまう方もいるのではないでしょうか?
それは空調機器が原因になっている可能性が高いです。

冬は一般に、電気を最も使う季節と言われています。
その要因として、エアコン以外の暖房器具が稼働していることが考えられます。

先ほどエアコンは、空気中にある熱を集めて1の電気で3~7倍ほどの熱を移動できるとお話しましたが、電気ヒーターは1の電気で1の熱を発生させますので、長時間使用すると電気使用量が多くなりがちです。

 ・ハロゲンヒーター
・カーボンヒーター
・グラファイトヒーター
・オイルヒーター
・セラミックファンヒーター
・ホットカーペット

上記のように電気ヒーターを使う暖房器具はたくさんあります。
ヒーターの中でもコタツのように狭い範囲を温めるものや、電気あんかのように消費電力が小さいものは、電気使用量にそれほど影響しませんが、部屋全体を温めるために長時間ヒーター系の暖房を使用すると、それだけ使用量も多くなります。

冬だけ突出して電気使用量が増えるご家庭では、このような暖房器具が原因となっている可能性があります。

3-1-2.エアコン・暖房器具の電気使用量を減らす4つのポイント

【ポイント①】
冷暖房で共通する対策として、まずは何よりも「使わないときは消すこと」です。
冷暖房は消費電力が大きい製品が多いうえ、稼働時間が長くなりがちで結果として電気使用量を押し上げてしまいます。
稼働時間を短くするためにも、こまめにスイッチを切りましょう。
ただし、エアコンの場合は、立ち上がり直後、設定温度になるまでに多くの電気を使いますので、短時間であればつけたままの方が電気使用量が抑えられると言われています。

【ポイント②】
「設定温度は控えめに」
冷房の場合は高めに、暖房類の場合は低めに温度設定することで電気使用量を抑えることができます。
また、電気ストーブの場合は、出力が切り替えられるものは小さい出力にすることで電気使用量を抑えることができます。
(例:800Wと400Wの切り替えスイッチがあれば400Wで使用)

【ポイント③】
「断熱性を高めること」
冷暖房機器を使用する空間の温度と設定温度の差が大きい場合、機器はその差を埋めようとフル回転しますが、
・カーテンをしめる/厚手のカーテンに取り替える
・扉を開けたままにしない
 ・窓の断熱性を高める(二重サッシや断熱シート)
・夏場はグリーンカーテンやすだれ、よしずで直射日光を遮る
など、遮熱や断熱をすることにより外気温の影響を受けにくくなり、冷暖房の効率がよくなります。この結果、冷暖房機器の稼働を抑えることができるのです。

【ポイント④(エアコンの場合)】
「室内機のフィルター清掃や室外機まわりのスペースを空ける」

室内機は、室内の空気を吸い込み、温度を調節した空気をはき出すことで室内温度を調整しています。
空気の吸い込み部分にあるフィルターが埃などで詰まると、うまく空気を循環させることができず、電気使用量が増加する原因となります。
毎日使うエアコンは、2週間に一度はフィルターを掃除しましょう。
自動フィルターお掃除機能付きのエアコンの場合は、フィルターの掃除はしてくれるものの、ホコリをダストボックスにためるタイプもありますので、取扱説明書に従って、定期的なお掃除をおすすめします。
フィルター自体は、掃除により綺麗になりますが、ニオイがする場合は、内部にカビが生えている可能性があります。内部の汚れをとりたい方は、ハウスクリーニング業者等に依頼されることをおすすめします。

次に室外機は、ファンを回して空気を取り込み、空気を圧縮するとことで熱を移動させ、冷房時は暖かい空気、暖房時は冷たい空気を吹き出しています。
そのため、室外機の前にブロック壁や植物などの障害物あると、冷房時に室外機から吹き出した空気が、循環せずに戻ってきてしまいます。
この状況をショートサイクルと言い、電気使用量が増加する原因となります。
わりと見落としがちですが、室外機の周りには物を置かず、十分なスペースを確保することが省エネにつながります。

3-2-1.意外な伏兵?「乾燥機類」

乾燥機能のついている機器も、電気使用量が多くなる要因の1つと言えます。
例えば、
・浴室暖房乾燥機
・洗濯乾燥機
・衣類乾燥機
・食器洗い乾燥機
・ヘアドライヤー
などがそれに当たります。

意外に思うかもしれませんが、物を乾燥させる機能を持っている機器の多くは「温風」を使っています。その大半は電気ヒーターで熱を作り、ヒーター越しに送風することで温風を発生させています。
つまり、乾燥機能が働いているときは暖房が動いているのと同じ環境と言えるのです。

上記の機器を使う頻度が高い、または長い時間使う傾向の方は、これらが原因となっている可能性も考えられます。

3-2-2.乾燥機類の使用量を抑えるポイント

乾燥機能の場合、「稼働頻度を抑えること」が重要です。
食器洗い乾燥機や洗濯乾燥機などの場合は、なるべくまとめて洗うなど機器を動かす機会を減らすことで調整しましょう。
また、時間に余裕があり乾燥機能を使う必要が無い場合などにはあえて乾燥機能を使用しないことで、電気使用量を減らす効果が見込めます。

雨の日や、夜洗濯して翌朝までに乾燥させたい場合などは乾燥機能は大変便利なものですので、無理のない範囲で省エネしましょう。

ヘアドライヤーの場合は使用前によく髪の毛の水分を拭き取ることで稼働時間が抑えられます。
また、夏場や仕上げなどでは冷風をうまく活用することにより電気の使用量をさらに抑えることが可能です。

3-3-1.ベースの電気使用量を押し上げる冷蔵庫と照明

冷蔵庫や照明は稼働時間が長い家電製品です。
ひとつひとつの消費電力は、それほど大きくありませんが、稼働時間が長いため1年を通してベースの電気使用量が多くなります。

冷蔵庫

3-3-2.冷蔵庫と照明の電気使用量を抑えるポイント

<冷蔵庫>
・冬場の設定温度は控えめに
・冷蔵庫は詰め込みすぎない
・開けている時間を短くする
・熱い食品は冷ましてから冷蔵庫に入れる

上記のような使い方の工夫でもベースの電気使用量を減らすことができますが、冷蔵庫の省エネ性能は年々向上していますので、10年以上使用している場合は年間消費電力量の少ない省エネ性能の高い冷蔵庫へ買い換えを検討してみるのもよいでしょう。

<照明>
・使わない時は消灯する
・定期的に掃除して明るさを確保する
・必要以上につけ過ぎない
・調光機能がある場合、寝る前は明るさを抑える

上記のような使い方の工夫でもベースの電気使用量を減らすことができますが、以下のように買い換えによる節電もできますので、当てはまる場合は買い換えも検討してみてはいかがでしょうか。
・白熱電球の場合はLED電球に取り替える
・廊下や玄関はセンサー機能付きの照明器具やスイッチに取り替えて消し忘れを防止する
・明るすぎる場合は適切な明るさの照明や調光機能付きの照明器具に取り替える

3-4-1.そんなに使っている印象はないのに・・・家電製品の「故障」

あまり多くはないことですが、まれに経年劣化などにより家電製品が故障してしまい、電気を通常時よりも多く消費してしまうことがあります。

例えば凍結防止ヒーターなどは、設定温度になると通電を止める機能がついているものがあります。これらは機器側に搭載されているセンサーなどで温度を管理していますが、このセンサーが壊れてしまうと、設定温度に達しているかの判断がうまく行えず、通電し続けてしまうことがあります。

また、電気給湯機(エコキュート・電気温水器)の給湯配管が劣化して湯漏れを起こしていると、必要以上にお湯が使われ、電気使用量や水道使用量が増加する原因になります。

「例年と同じ機器を使っているのに、最近急激に電気の使用量が増えた」などの場合は、機器の故障も疑われます。

3-4-2.機器の故障に対する対策

こちらはなかなか判断が難しいパターンです。
比較できる対象としては、
・前年同月の電気使用量
・直近前月の電気使用量
などと比較し、使用している機器や使用時間がまったく変わっていない状況で、かつ急激に電気使用量が多くなっている場合に機器の故障を疑う基準とすることができます。

故障機器の判定はなかなか難しいですが、疑わしい機器があれば使うのを控えるという方法があります。
定期的に電力量メーターの数字を確認しておき、特定の機器の使用を控えた途端に電気の使用量が大幅に減った場合、その機器が原因となっている可能性があります。

原因機器の目星がついた場合には、メーカーや販売店に相談してみると良いでしょう。機器の故障が判明した場合、製品の修理や交換で解決する可能性があります。

4.まとめ

今回のお話をおさらいすると、電気使用量が多くなってしまう主な原因は
・消費電力の大きな機器を使用すること
・長時間稼働する機器を使用すること
が、電気使用量が多くなる原因ということでした。

また、電気使用量を低く抑えるための共通する対策は
・機器の稼働時間を短くすること
・機器の稼働をなるべく低い出力に抑える工夫をすること
と言えます。

ただし、ライフスタイルを急に変えることは難しいと思いますので、無理のない範囲で快適性を確保しながら、できることから無駄を省き、電気を上手に使っていきましょう。

なお、東京電力パワーグリッドは送配電事業者であり電気の小売事業はしていませんので、恐れ入りますが電気料金についてのお問い合わせは、ご契約されている電力会社(小売電気事業者)へご相談ください。