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意外と知らない電気代の安い省エネエアコンの選び方を基礎から解説!

今年もエアコンが欠かせない季節がやってきました。
自宅時間を快適に過ごすためにも、使う部屋ごとに最適なエアコンを選びたいですね。
今回は、あなたのライフスタイルにあったエアコンの選び方について、基礎から徹底解説いたします。

エアコン選びの簡単なポイントとして、
①部屋の広さにあったものを
②使用頻度に応じて省エネ性能を選択し
③設置スペースや電源の制約も考慮し
④自分のニーズにあった特長のある機種を
選ばれるとよいでしょう。

1.部屋の広さにあった能力の機種を選ぶ

エアコン選びのポイント1つめは、部屋の広さにあった能力の機種を選ぶことです。畳数の目安や能力の見方について、解説します。

1-1.畳数目安の見方

エアコンのカタログには、〇畳~△畳といった目安表示がありますが、読み方があります。
例えば、8畳~12畳用と表示されている場合、
8畳は「一戸建て木造平屋南向き和室」、
12畳は「鉄筋集合住宅中間層南向き洋室」
を示しています。

マンションから木造戸建て住宅に引っ越すと寒く感じるという話を聞くことがありますが、断熱性能や周りが部屋で囲まれているといった環境の違いから、同じ広さの部屋でも冷暖房に必要な能力にも違いが出てきます。
同じ木造戸建て住宅でも断熱性や気密性の違いや、吹き抜けの有無により必要な能力に違いが出てきます。

また、○畳~○畳の記載については、冷房時と暖房時で異なります。
異なる理由として、暖房の方が大きな温度変化を要するためです。
例えば、冷房は室温が35℃だとしても28℃に下げるのには、7℃の温度変化で済みますが、暖房では室温10℃から20℃に上げるためには、10℃の温度変化が必要となります。
そのため、目安の畳数も暖房の方が小さめになります。
単純に「冷房」の畳数目安だけで選んでしまうと、冷房はよいとしても、寒い日の暖房時には部屋が暖まるまでにフル稼働で長時間かかるといったことになる可能性があります。
住宅の断熱性能にもよりますが、寒冷地や戸建て住宅では、暖房能力が足りないと寒く感じることにつながりやすいため、暖房を重視する場合は余裕をもった能力があるエアコンを選択するとよいでしょう。
特に寒冷地では暖房機能が重要ですので、外気温が氷点下でもしっかり温風が出る「低温暖房能力」の高い寒冷地向けの機種を選ぶとよいでしょう。

1-2.能力の見方

冷暖房能力は、2.8kW、3.6kW、4.0kWなど、エアコンの能力階級で分けて表示されていますが、能力は、大きく表示された数字だけでなく、「幅」も気にしてみましょう。
例えば、暖房能力2.8kWの下に(0.7~4.7)といった数字が記載されている場合、最小0.7~最大4.7kWの能力が出せるという意味になります。
一般的に上位機種の方が能力の幅が大きく、同じ暖房能力2.8kWでも(0.6~6.2)といったように最小能力はより低くきめ細かな運転ができ、最大能力はより高く素早く部屋を適温にできることを意味しています。
エアコンの能力を見る時は、単純に数字だけでなく、能力の幅も見ることがポイントになります。

2.使用頻度に応じて省エネ性能を選択する

内閣府の消費動向調査(H31.3実施分)によると、エアコンの平均使用年数は、13.8年だそうです。
一度、購入したら平均で10年以上使用する家電製品ですので、後悔のないように購入したいですね。
エアコンの選びの2つめのポイントは、使用頻度に応じて省エネ性能を選択することです。

2-1.部屋による機種選び

エアコンは、一般的に上位機種であるほど、省エネ性や快適性の高い機種がラインナップされています。
使用頻度の高いリビングは、上位機種を選びたいところです。
一方で、使用頻度が低い子供部屋や寝室、客間などは中位機種や下位機種でも問題ありませんが、例えば寝室でしたら快眠につながる機能があるエアコンを選ぶなど、自分のニーズにあった機種を選ばれるとよいでしょう。

2-2.省エネ性能の比較と期間消費電力量の目安

エアコンを選ぶ際に省エネ性能を比較するのに便利なページがあります。
資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイト 「省エネ性能カタログ電子版」を利用すると、エアコンの能力別(畳数目安別)にランキング形式で比較されていて、簡単に省エネ性能が高い機種を調べることができます。
エアコンの省エネ性能は、APF(通年エネルギー消費効率)という数値で確認できますので、使用頻度の高い部屋はAPFの大きい機種を選ばれることをおすすめします。
例えば、APF7.0であれば、1の電気で7倍の熱を得られる(年間平均)ということになります。(電気ストーブ等の電気ヒーターでは1の電気で1の熱を得られるので、APF7.0であれば7倍効率がよいということになります。)

出典: 資源エネルギー庁・省エネ型製品情報サイト 「省エネ性能カタログ電子版

また、年間の期間消費電力量の目安も掲載されていますので、機器代と1kWhあたりの電気料金を調べておけば、ランニングコストとの見合いで機種選定ができます。

<算出条件>

期間消費電力量は以下の算出条件であり、冷暖房が必要な時期に毎日18時間使用する想定で算出されています。
家電量販店などで掲示されているエアコン電気代の目安が高いように見えるのは、このような算出条件のためです。

外気温度 東京をモデルとしています
期間 冷房期間4.3ヶ月(5月23日~10月4日)
暖房期間5.3ヶ月(11月8日~4月16日)
設定温度 冷房時:27℃
暖房時:20℃
時間 6:00~24:00の18時間
住宅 JIS C 9612による平均的な木造住宅(南向き)
部屋の広さ 機種に見合った広さの部屋(下記参照)
冷房能力ランク(kW) ~2.2 2.5 2.8 ~3.6 ~4.5 5.0 5.6 6.3 7.1 8.0 9.0
畳数(畳) 6 8 10 12 14 16 18 20 23 26 29

<地域係数>

上述のとおり期間消費電力量は、東京をモデルとしていますので、実際にお住まいの地域の地域係数をかけることで、気温の差が補正されます。
表を見てわかるとおり、寒い地域の方が地域係数が大きく、それだけ電気使用量が多くなることがわかります。

地域




















冷暖兼用機 1.0 3.1 2.3 1.9 1.6 1.5 1.4 2.0 1.5 0.8 1.3 1.2 1.3 1.2 1.2 1.1 1.1 1.2 1.0 0.8

出典: 経済産業省告示第258号「エネルギー消費機器の小売の事業を行う者が取り組むべき措置」(H.18.8.18)

2-3.広い部屋でのエアコン選び

エアコンは大型のものより、中型や小型の方が省エネ性能を示すAPF (通年エネルギー消費効率) の値が高く、効率が良い傾向にあります。

2020年7月1日現在、省エネ性能カタログ電子版に掲載されている機種の中で、基準達成率が最も高い機種を比較した場合、冷房能力2.2kW(6~9畳)~5.6kW(15~23畳)までは、APF:7以上の機種がありますが、冷房能力6.3kW(17~26畳)以上は、APF:6台(7未満)になっています。

理由として、大型の機種よりも中型や小型の方が省エネ達成基準の基準値が高いことや、売れ筋機種であり、メーカー間の競争が激しいことがあげられます。

そのため、広い部屋は大型1台より、中型や小型2台で冷暖房することをおすすめします。例えば、20畳の部屋であれば、10畳用を2台といった具合です。

<広い部屋をエアコン2台にした場合のメリット>

・2台運転の方が冷暖房の立ち上がりが早く、すぐに部屋を適温にできる。
・2台を対角線に設置することで広い部屋でもムラなく冷暖房できる。
・1台故障しても、もう1台で暑さ寒さをしのげる。
・部屋を間仕切りした場合でも対応可能。
・中型や小型の方が売れ筋のため、製品の選択肢が多く、お気に入りの製品を選択しやすい。

以上のようなメリットがありますが、コンセントの数を増やしたり、それぞれの設置ペースが必要であったり、2台分の工事費がかかるといったデメリットがあります。

3.設置スペースや電源の制約

せっかく気に入った機種があっても設置スペースや電源が確保できなければ、設置できません。
お気に入りの機種が希望の位置に設置できるのか、購入前に調べておきましょう。
また、住宅を新築する際には、設置したいエアコンの大きさを踏まえて、スペースや電源を確保しましょう。

3-1.エアコン設置スペース

カタログには室内機、室外機の寸法が記載されていますが、単純に設置スペースに収まればよいというものではなく、上下左右や前方の隙間を確保しなければなりません。

<室内機>

室内機は、カタログに記載された上下左右の隙間の他、下方向に出る風向フラップの可動スペースも確保する必要があります。
エアコンを設置してもらう時には、設置位置を確認されるため、メーカーが指定する隙間が確保できているか、設置前に施工業者と一緒に確認しておけば間違いありません。

また、将来的にハウスクリーニング業者等にエアコンクリーニングを依頼することを考えると、掃除スペースとして天井と両壁から10cm以上、下(家具や床)から30cm以上の余幅を確保しておくと安心です。

<室外機>

室外機はあまり目立たせたくないので、家の側面や裏側に設置しがちです。
それ自体は問題ないのですが、室外機の周囲スペースが狭いと熱がこもってしまい、熱交換の効率が落ちてしまいます。

メーカーカタログ等には最低限必要な周囲スペースが記載されていますが、極力、ブロック塀や植木鉢などの障害物から距離を離し広いスペースを確保しておきたいところです。

こちらも設置する際には、メーカーが指定する周囲スペースが確保できているか、設置前に施工業者と一緒に確認しておけば間違いありません。

下の写真のように植物がかかってしまっているような場合には、効率が落ちるだけでなく、故障の原因にもなりますので、こまめに剪定しましょう。

その他、大雪が降る地域では高脚置台(または壁掛設置)や防雪フードなどの防雪部材の設置スペースも確保しましょう。

また、海の近くに住んでいる場合には、海までの距離により「対塩害仕様」や「対重塩害仕様」の室外機を設置するとともに潮風が直接あたらない建物の陰に室外機設置スペースを用意する必要があります。
付着した塩分を洗い流すために定期的に水洗いをする必要がありますので、塩水がたまらないよう水はけのよい場所に設置スペースを確保しましょう。

3-2.電源の制約

エアコンを設置する際に欠かせないのは、電源の確保です。
下の写真のように20A(アンペア)のアース付き専用コンセントが設置されていれば、プラグ形状が15Aの機種でも20Aの機種でも設置できます。

また、ほしい機種の100V(ボルト)・200Vが違っていても、電気工事士資格保有者による分電盤側の接続変更(場合によりブレーカー変更)と、コンセント側の取替工事のみで設置できます。

20Aコンセントの見分け方としては、下の写真のように100Vの場合、Tの字を横にしたような形の穴があること。
200Vの場合、Lの字を横にしたような形の穴があれば20Aコンセントです。

エアコンのカタログに電源プラグ形状とアンペア数が記載されていますので、設置場所のコンセントで対応できるものか事前に確認しておきましょう。

15Aのコンセントの場合、どちらの穴もIの字になります。
15Aコンセントでは、専用コンセントだとしても配線が1.6ミリといった最低太さのものが使用されていることが想定されます。
配線太さが1.6ミリのままでは20Aコンセントには切り替えられませんので、大きな機種を設置したい場合は、 電気工事士資格保有者 による分電盤側の200V接続変更 (場合によりブレーカー変更) と200V15Aコンセントへの取り替えおよびアース線の接続で、200V15Aの機種が設置できるようになります。(分電盤までの距離が10m以上ある場合など、距離が長いとその分、電圧が落ちますので2.0ミリの配線への張替えを推奨します。また、単相2線式100V配線の場合、200Vエアコンを使用するためには単相3線式100V/200V配線への増設工事が必要となります。)

万が一、エアコンを設置したい場所にコンセントがない場合は、分電盤から専用配線を引いてくる必要がありますので、それなりに工事費がかかることを覚悟してください。
なお、電気工事は、エアコン販売店や電気工事店等に依頼してください。

4. 自分のニーズにあった特長のある機種を選ぶ

エアコン選び最後のポイントは、自分のニーズにあった機能がある機種を選ぶことです。

エアコンは、冷房と暖房だけあればよいという最低限のニーズであれば、省エネ性能や設置場所や電源の制約だけ気にすれば問題ありません。

エアコンを設置する際に検討する際に見ておきたい機能として代表的なものは以下のとおりです。

メーカーにより、特長が異なりますので、こういった視点でチェックされると参考になるのではないでしょうか。

<主な機能とチェックポイント>

・タイマー機能
→単純な入タイマー、切タイマーだけでなく、毎日、自動運転させられるよう入切タイマー(プログラムタイマー)があるか。

・フィルター自動清掃機能
→ダストボックスはお手入れしやすいか、ホコリ屋外排出型か、自動清掃がない場合はフィルターのお手入れがしやすいか。

・熱交換器洗浄機能
→熱交換器を洗浄できるか、防汚コーティングがされているか、殺菌や乾燥の機能があるか。

・センサー機能
→体温や人の動きなどから快適な運転をしているか、気流のコントロールがされるか、風よけ・風あてなど選択できるか。

・快適気流
→部屋の奥まで気流が届くか、しっかり足下から暖める気流コントロールがされるか。

・快眠機能
→快適な睡眠につながるような運転がされるか、朝起きる時に目覚めがよい運転がされるか、温度を下げずに除湿する再熱除湿機能があるか。

・快適暖房
→霜取り運転時にも温度をキープできるか、暖房の立ち上がりが早いか。

・快適湿度
→加湿機能があるか、加湿器と連動するか。

・デザイン
→部屋にマッチしたデザインか、インテリアにあった好みの色を選べるか、シンプルなデザインか。

・ネットワーク対応
→スマートスピーカーから声で操作できるか、外出先からスマートフォンで操作できるか、故障通知機能があるか。

5.おわりに

ここまで、エアコンの選び方について解説してきましたが、最終的には、自分の予算に対して求める省エネ性能や機能が具備されているかといったことが購入の決め手になろうかと思います。

高性能の機種を安く購入するために、暑さ寒さが本格化する前のシーズンオフに上位機種の型落ち品を選ぶといったテクニックもあります。運良くほしい機種の型落ち品の在庫があれば、お得に購入できるかもしれません。

近年のエアコンは暖房性能が高く、メインの暖房機としても十分活躍してくれます。
それに再生可能エネルギーである「空気の熱」を集めて冷暖房するため、実は環境にも優しい製品なのです。

暑い夏場だけではなく、寒い冬場も快適に過ごせるよう、選び方の参考にしていただけますと幸いです。

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