「電気使用安全月間」 ~電気を安全にお使いいただくために~
毎年8月は「電気使用安全月間」です。
夏場は電気の事故が多く、1年を通して最も注意が必要な季節です。
そのため、経済産業省主唱のもと、電気に携わる関係団体が一体となり、この期間に全国一斉の安全啓発活動を展開しています。
弊社もこの活動に積極的に協力し、皆さまに電気を安全に使用していただくための活動に取り組んでいます。
1.夏は電気の事故が多い?
なぜ夏は電気の事故が多いのでしょうか。
1-1.感電の危険性が高まる
夏は気温や湿度が高くなる季節です。
このような高温・多湿の環境下では、
- 集中力が低下し、不安全な行動をしてしまう
- 軽装などにより肌の露出が増える
- 発汗が多く、身体の表面が電気の流れやすい状態になる
などの理由から、感電事故を多く誘発するような状況になります。
1-2.自然災害が多い
夏は落雷や台風などの暴風雨が多く発生する季節でもあります。
落雷や台風が発生したときの電気のトラブルとして、
- 落雷により電気機器や電気器具が破損しショートする
- 暴風雨により電気機器や電気器具に雨水が吹き込み漏電する
- 河川の氾濫によって家屋が浸水し、電気器具が水に濡れて漏電する
などが考えられます。
特に漏電は感電や火災の原因となります。
このように、夏は感電、火災などの電気事故に対して特に注意が必要なのです。
2.電気を安全にお使いいただくために
日頃から電気の正しい使い方を理解し、感電や火災などの電気事故を起こさないよう心がける必要があります。なぜなら、わたしたちの身近な生活の中にも危険は潜んでいるからです。
2-1. 身近な生活の中でできる対策
2-1-1. 身体についた水分はしっかり拭き取りましょう
水場の仕事をした後や発汗した後の濡れた手や衣服で、電気器具を扱うと感電しやすく危険です。乾いたタオルでしっかり水分を拭き取り、濡れた衣服はこまめに着替えましょう。
2-1-2. タコ足配線はやめましょう
コードやコンセントは、同時に使用できる電気の量が決まっています。この制限を超えて使用すると過熱して火災の原因となることがあります。
わたしたちの周りには電気機器が増えてきているのでタコ足配線となりがちです。テーブルタップの定格ワット数を超えたたこ足配線は火災の原因となるのでやめましょう。
2-1-3. トラッキング現象に注意しましょう
プラグは長時間差し込んだままにしておくと、チリやホコリがたまってしまいます。そこに湿気が加わると漏電や火災の原因となることがあります。これをトラッキング現象と言います。
冷蔵庫や洗濯機、テレビなどのプラグはチリやホコリがたまりやすいので、定期的に乾燥した布などで掃除をしましょう。
2-1-4.漏電遮断器( 漏電ブレーカー を取り付けましょう
屋内の配線や電気器具は、電気が漏れないように「絶縁」されていますが、古くなったり、傷ついたり、水をかぶったりすると、電気が漏れることがあります。これを「漏電」と言い、感電や火災の原因になります。
漏電対策の基本は、漏電遮断器( 漏電ブレーカー )を取り付けることです。
漏電遮断器( 漏電ブレーカー ) は、漏電が発生したときに自動的に電気をきってくれるため感電を防止してくれます。
2-2. 自然災害への対策
2-2-1. 地震に備えましょう
近年では、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模な地震が発生していますので、地震による電気火災への対策も忘れてはなりません。
地震によって発生する電気火災はどのような事例があるのでしょうか。
- 地震が発生したときに、電気ストーブ周辺に本や洗濯物が散乱し引火
- 地震が発生したときに、家具が倒れ、電気コードを損傷させショートし発火
- 電気が復旧したときに、電気ストーブが点灯し散乱物に引火
このように、地震直後に発生する場合や、電気が復旧したときに発生する場合があります。
特に電気が復旧したときに発生する火災は、避難などで自宅を離れている間に発生することがあり、電気の消し忘れに注意する必要があります。
地震が発生した後、避難などで自宅を離れる場合は、アイロンや電気ストーブといった熱を出す電気機器をコンセントから抜くか、分電盤にあるブレーカーを落としておきましょう。
感震ブレーカー
地震が発生したときの火災防止対策として、感震ブレーカーが注目を集めています。
感震ブレーカーは、地震を感知すると自動的に電気をきってくれるブレーカーです。
大規模災害に対する多重対策として、漏電ブレーカーとともに期待されています。
感震ブレーカーの種類は、分電盤タイプやコンセントタイプがありますが、特徴をよく理解して選択する必要があります。
<分電盤タイプ>
分電盤タイプは、屋内にある分電盤の中に感震ブレーカーを設置したものです。
分電盤は電力会社から届けられた電気が最初に通過する電気設備となるため、地震を感知してブレーカーが切れると、宅内の電気がすべて消えてしまいますが、火災発生の防止には効果的です。
ただし、電気がすべて消えることによって、移動や避難などの妨げになるおそれがあります。
このような場合には、停電時でも足元を照らしてくれる照明の設置や懐中電灯を常備しておくこと、また、最低限の照明を確保する手段として、携帯電話を手元に置いておくなどの備えをしておくとよいでしょう。
また、生命を維持するための在宅用医療機器を使用しているご家庭など、電気が消えると困る場合もありますので、停電時の備えとしてバッテリーを常備しておくことや、後述のコンセントタイプを選択するとよいでしょう。
<コンセントタイプ>
コンセントタイプは、文字どおりコンセントに感震機能を備え付けたものです。
コンセントタイプのメリットは、地震が発生したときに電気を消しておきたい電気機器を選択できることです。
例えば、アイロンやドライヤー、電気ストーブなど、放置しておくと火災の原因となる電気機器をコンセントタイプにつなげて使うことで、火災の発生を防止することができます。
ただし、屋内に一部だけの設置となる場合、普段の生活が非効率となる場合もありますし、火災予防の範囲も限定的です。
このように、タイプ別の特徴をよく理解したうえで用途にあったもの選択するようにしましょう
2-2-2. 雷に備えましょう
雷には、直接命中する直撃雷と間接的に受ける雷サージがあります。
雷によって電気機器が壊れる原因の大半がこの雷サージです。雷サージは、電線や電話線、配管や大地など、侵入経路が多岐にわたり予測できません。
雷による電気機器の故障を防ぐためには、電気機器のプラグをコンセントから抜き、雷の侵入経路を断つことが最も効果的です。
近くで大きな雷が鳴ったら、プラグをコンセントから抜くように心がけましょう。
2-2-3. 風水害に備えましょう
近年では、台風や線状降水帯などの集中豪雨によって、河川が氾濫し、家屋が浸水するなどの被害が発生しています。
家屋が浸水すると、配線やコンセントなどの電気設備や電気機器などが漏電をおこし、感電や火災となる場合もあります。
このような場合においても、漏電が発生したときに自動的に電気を切ってくれる漏電遮断器を設置することや、避難するときにブレーカーを切っておくことが効果的です。
ちょっとした雨でも屋外に出しっぱなしにした電気機器や延長コードなどに雨水が吹き込み、漏電をおこす場合があります。
雨が降る前に屋外の整理整頓をしておきましょう。
また、台風などの風が強いときは、倒木やビニール・トタンなどが飛ばされ、電柱や電線にかかることがあります。
切れた電線や電柱・電線に引っかかっているビニールや樹木等は、感電するおそれがありますので、絶対に触らないでください。発見した場合は、すぐに東京電力パワーグリッドまでご連絡ください。(東京電力パワーグリッド供給エリア外は、地域の送配電事業者にご連絡をお願いします。)
台風が接近する前に、風で飛ばされるものがないか、ご自宅のまわりをチェックしましょう。
3.最後に
電気は私たちの生活に欠かすことのできない重要なエネルギーですが、間違った知識や使い方を誤ると大変な事故につながります。
日頃から、電気の使い方に関する知識と理解を深め、皆さまご自身で電気事故防止に向けた対策をしていくことが重要です。
これからも、電気を安全に安心してご利用いただけますと幸いです。
なお、東京電力パワーグリッドではお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスを実施しています。
- 電気設備の点検をしてほしい
- 漏電していないか心配なのでみてほしい
- プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
- ブレーカーやコンセント・スイッチを取り替えてほしい
こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。お気軽にご相談ください。
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