東京電力パワーグリット

台風が来る前の停電の備えとは?台風への備えを徹底解説!(後編)

前回、台風に襲来に向けて、「台風に伴う停電てなぜ発生するの?」「自分たちでできることってなんだろう?」の中で基本的な内容をご紹介しましたが、今回は長期停電に備えるための具体的な方法として、「自宅内で電気を生み出す」「電気を貯める」ための設備の導入についてご紹介したいと思います。

1.電気を生み出す(発電設備)

地域的に長期の停電が発生した場合、自宅で電気を生み出す(発電する)ことで、自宅で電気を使用することが可能となります。
発電するためには発電設備が必要ですが、設備ごとの特徴や注意点についてご紹介します。

1-1.携帯/小型発電機 

燃料(ガソリンやカセットガス)でエンジンを稼働し発電する設備です。

この設備はお祭り等でよく使われていますが、音が大きいのと、燃料を補充しなければいけない(備蓄しなければいけない)ことがデメリットです。
また、排気ガスが出るため、屋内では使用できません。

一方で、価格は発電容量によって様々ですが、発電設備の中では比較的安価で、数万円から購入することができ、持ち運びもできる設備なので、発電設備としては導入しやすい設備です。

メリット

  • 発電設備の中では比較的安価
  • 持ち運びしやすい

デメリット

  • 稼働音が大きい
  • 燃料(ガソリンやカセットガス)の補充が必要
  • 排気ガスが出る

注意点

発電に伴う排気ガスには人体に有害な一酸化炭素が含まれるため、屋外での利用に限られます。
使用する際は、使用上の注意をよく確認し、注意してご利用ください。

1-2.太陽光発電

10年ほど前から一般家庭にも普及してきたので、ご存知の方も多いと思いますが、太陽の光を電気エネルギーに変換する発電設備です。

住宅に導入する場合、屋根の上に積載することが一般的で、発電した電気は家庭内で使用できることができ、さらには余った電気を電力会社等※に売電することもできます。
※再生可能エネルギーの固定価格買取制度による再生可能エネルギーの買取義務者は、2017年4月1日以降の特定契約(買取契約)締結分から、小売電気事業者から送配電事業者に変更となっています。送配電事業者による買取の場合、固定価格買取制度の期間満了(卒FIT)後は小売電気事業者等に売電することで余剰電力の買い取りが継続されます。

また、停電した場合でも、一定の明るさがあれば、宅内の一部の電気を使用することが可能です。

なお、積載するパネルの枚数や逆変換装置(パワーコンディショナ)の容量にもよりますが、導入費用は数十万~数百万かかる場合があります。

メリット

  • 燃料の補充が不要(一定の明るさがあれば発電してくれる)
  • 発電した電気を日常的に家庭内で使用できる(電気料金の低減)
  • 余った電気を売電できる
  • 稼働音が小さい(パワーコンディショナーから多少の音が出ます)

デメリット

  • 昼間(光がある間)しか発電できない
  • 発電量が天候に左右される
  • 小型発電機と比べると設備費が高い
  • 屋根の上や空き地など、パネルの設置場所が必要
  • 導入には電気工事、設置工事が必要

突然ですが、太陽光発電設備をすでに導入している方や、これから導入を検討している方に役立つ知識のご紹介です。

「太陽光発電設備を導入しても、「自立運転機能」を使わないと停電時に電気を使えない」

太陽光発電設備には「自立運転機能」という機能が備わっていることをご存知でしょうか?これは、停電した場合に宅内の一部(自立運転用コンセント)に電気を供給する(一部だけ使える)機能ですが、実は多くの機種が自立運転機能へ手動で切り替えなければ使用できません。

太陽光発電自立運転

太陽光発電システム自立運転用コンセントの例

東日本大震災や昨年発生した台風15号など長期停電が発生したケースで、自立運転の「機能があることを知らない」、「使い方がわからなくて使っていなかった」という方が多くいらっしゃたようです。

せっかく導入した太陽光発電設備です。事前に使用方法を確認することで機能を最大限利用しましょう。
なお、太陽光発電協会(JPEA)が各メーカーの「自立運転機能」使用方法を掲載しています。

出典:一般社団法人 太陽光発電協会  住宅用太陽光発電システム 停電時の自立運転について

※太陽光発電設備でご不明な点は、販売店・施工店あるいは各メーカーにお問い合わせをお願いします。

2.電気を貯める

ご存知の方も多いと思いますが、電気は水などと違い基本的には貯めることができませんが、蓄電池があれば貯めることができます。
ここからは電気を使用するための方法として、「電気を貯める(蓄電する)」を紹介したいと思います。

2-1.乾電池

まずは皆さまもご存知の一番簡単な方法です。

乾電池を使用して、懐中電灯の使用や、携帯電話の充電(モバイルバッテリーの使用)が可能です。電池にはサイズがあるので各サイズ揃えておくことをお勧めします。
また、中には10年保存が可能な製品もあります。長期に保存できるものを備蓄しましょう。

2-2.蓄電池の準備

文字通り、電気を貯める設備です。

持ち運びができて価格が数万円から購入ができるポータブル蓄電池や、金額が高額ですが、大容量の電気を貯めることができる定置型蓄電池があります。
さらに最近では電気自動車を蓄電池として使用することも可能です。

蓄電池の能力は、容量(kWh)と定格出力(kW)で確認することができます。ただし、能力が向上すると当然価格も高くなりますので、使い方にあったものを選びましょう。

【蓄電池の能力で確認するもの】

容量(kWh・Wh)
水で例えると貯水タンクの大きさだと思ってください。タンクが大きいほど水がたくさん貯められるように、容量が大きいほど蓄電できる量(使える量)も多くなります。

定格出力(kW) 
タンクの蛇口の大きさだと思ってください。蛇口が大きいほどたくさんの水を出せるように、出力が大きいほど、同時に多くの家電製品を使うことができます。

2-2-1.ポータブル蓄電池

持ち運びができることと、電気工事が必要ないことが大きな特徴で、定置型蓄電池と比較すると非常に安価です。
ただし、蓄電容量が少なく、また、定格出力も少ないため、使用できる家電製品は限定されます。

例:容量500Wh、出力500Wの蓄電池(5万~10万円)の場合
  携帯電話:40回程度もしくは、扇風機:8時間程度の利用が可能
※製品によって差が生じますのであくまで参考としてください。

メリット

  • 持ち運びが簡単
  • 停電時にもポータブル蓄電池に接続した一部の家電製品が使用できる
  • 電気工事や設置工事が不要
  • 安価

デメリット

  • 蓄電容量が少ない(使える時間が短い)
  • 出力が小さい(使える家電が限定される)

2-2-2.定置型蓄電池

名前の通り地面に固定する蓄電池です。
※重量も重いです。

ポータブル蓄電池と比較すると設置工事と電気工事が伴うため高額ですが、蓄電容量が多く、出力が大きいことが特徴です。停電時には蓄電池からの出力に自動的に切り替わり、電気を継続使用できます。

また、災害などによる停電時のみならず、安価な深夜電力※を蓄電し、通常的に昼間は蓄電した電力を使用することで経済的なメリットも得られます。
※昼間より夜間の電気料金が安い電気料金プラン契約した場合のみ、昼間と夜間の電気料金の違いによる経済的なメリットが得られます。電気料金プランについては、小売電気事業者へお問い合わせください。

なお、東京電力グループで定置型蓄電池の販売やリースを行っています。
詳しくはこちらから⇒ TEPCOホームテック株式会社 エネカリ

メリット

  • ポータブル蓄電池と比べ蓄電容量が多い(たくさん使える)
  • 停電時にも自動的に切り替わり家全体の電気を使用できる(蓄電池の定格出力が上限)
  • 定格出力が大きい(使える家電製品が多い・冷蔵庫も使えます)
  • 昼間より夜間の方が安い電気料金プラン※に加入した場合、夜間に蓄電、昼間に放電する機能により、電気料金を抑えることができる
    ※電気料金プランについては、小売電気事業者にお問い合わせください。

デメリット

  • 設置工事、電気工事が必要
  • 高価
  • 設置場所を確保する必要がある

2-2-3.電気自動車(EV)

自動車としての活用が主な用途ですが、停電時は定置型蓄電池と同様に使用できることが特徴です。ただし、蓄電池として使用する場合は、電気自動車だけでなく、別途、V2H機器( Vehicle to Home) の設置と分電盤に接続する電気工事が必要となります。

メリット

  • 蓄電容量が多い(たくさん使える)
  • V2H機器を設置することで停電時でも家全体の電気を使用することができる( 蓄電池の定格出力が上限)
  • 定格出力が大きい(使える家電製品が多い・冷蔵庫も使える)
  • 昼間より夜間の方が安い電気料金プラン※に加入した場合、 安価な深夜電力で蓄電し、より安いランニングコストで電気自動車を利用できる
    ※電気料金プランについては小売電気事業者にお問い合わせください。
  • 蓄電池としても、電気自動車としても利用できる
  • 定置型蓄電池よりも設置スペース※が少ない
    ※駐車スペースは必要
  • 高価であるものの、蓄電容量1kWhあたりの単価が安い

デメリット

  • V2H機器の設置工事、電気工事が必要
  • 電気自動車を接続していなければ、停電時に電気を使用できない

3.電気を生み出して貯める

停電に備える対策の中でも太陽光発電設備と蓄電池設備の併用が最も有効です。

蓄電設備は一定量の電気を蓄電しますが、「長期停電」となると、足りなくなる(貯めた電気を使い切ってしまう)場合が想定されます。また、太陽光発電設備は夜間発電しませんので、夜間は電気を使用できません。

これらを補い合うのが「太陽光発電設備+蓄電池設備の併用」です。

昼間太陽光発電設備で発電、さらに発電したものを蓄電池に蓄電することで「毎日蓄電するので、足りなくなるリスクも少なくなり、また、夜間にも電気を使用できるという」最適な組み合わせになるのです。

4.まとめ

電気が当たり前に使用できる現代では、停電すると不便さを感じることが多いと思います。
異常気象、自然災害が多く発生する中で、様々な備えをしている方は多いと思いますが、今回ご紹介した内容は、長期停電発生時における対策としてもっとも有効な対策といえます。
ご自身の使用用途に応じて、適切な設備を選定するとともに、事前に機能を把握することで、いざというときに100%活用できるようにしておきましょう。

なお、東京電力パワーグリッドではお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスを実施しています。

  • 電気設備の点検をしてほしい
  • 漏電していないか心配なのでみてほしい
  • プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
  • ブレーカーやコンセント・スイッチを取り替えてほしい

こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。お気軽にご相談ください。
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