東京電力パワーグリット

暑い日にも手軽にできる夏の節電対策や電気の使い方の工夫について

最近では昔に比べ異常気象や大規模災害が多くなってきたような気がしませんか?
夏になると連日のように熱中症に関する情報や最高気温を更新したというニュースが目につき、130年前の東京の気温と比べると約2℃も高くなっていました。気温の上昇も気になるところですが、他にも上昇しすぎると非常に困ってしまうものがあります。

それは電力需要です。

発電量よりも電力需要が上回ってしまうと電気が足りず、大規模な停電になるおそれがあるのです。

2003年8月14日にはニューヨーク州をはじめとするアメリカ8州とカナダのオンタリオ州で大規模な停電が発生し、完全に復旧するまでには2日以上の時間を要しました。日本でも1987年7月23日に首都圏で大規模な停電が起きており、決して他国だけの出来事ではありません。

そんな事態に陥らないためには、夏場の電力需要のピーク時をできるだけ抑えるために、節電や省エネに心がける必要があります。
しかし、節電や省エネをすると快適では無くなるのでは?という声も良く聞きます。
そこで今回は夏場の電力需要のピークを少しでも抑えるために、簡単にできる節電や省エネの方法についてアドバイスいたします。

1.夏場、電気がピンチになる時は?

1-1.ピンチになる時間帯は? 

電力需要は午前中から上昇を始め、昼休みで一旦は小休止をします。昼休みが終わると再びオフィスや工場が稼働を始めるため電力需要はピークを迎えます。13時から始まった需要のピークは仕事が終わる17時まで続きますので、その4時間はもっとも電気の供給量が切迫するピンチな時間帯なのです!

1-2.電気と気温の関係性とは?

電気は気温とも密接な関係があり、グラフにすると同じようなカーブが描かれます。

気温が高ければ高いほど電力需要は高まり、2019年8月は気温が35.9度まで上昇し、電気の供給可能量のわずか6%まで迫った日もありました。そのため、気象庁で最高気温が非常に高くなると予想された日は、熱中症の危険も上昇しますが、電気にとっても電力需要が上昇して大停電になるかもしれないピンチな日なのです!

そのため、もっとも暑い日の13時から17時に家庭で使われている家電製品をいかに節電や省エネできるかが電気のピンチを回避するための有効な手段となります。そして使用者にとっては節電や省エネを実践することで電気代の節約につながるため、お互いに取っても有益となります。

では、その時間帯にもっとも多く使われている家電製品はなんでしょう?

1-3.夏場、家庭でもっとも使われている家電製品とは?

その時間、家庭でもっとも電気が使われている家電製品、それはエアコンです!

当然と言えば当然なのですが、驚くのは夏の日中に家庭内で使用している電気の約6割を占めています。
また、冷蔵庫も全体の約2割を占めており、この2つの家電製品を重点的に節電や省エネを行うだけでも十分効果が期待できます。

しかし、エアコンは暑い夏には必需品ですし、冷蔵庫に至っては生活に欠かせない家電製品なので、夏場の日中に使わない!と言う訳にはいきません。

むしろ熱中症を防ぐためにも、暑い日にはエアコンを上手に利用すべきです。

では、どうしたら2つの家電製品の電気の使用量を抑えられるのでしょうか?

2.エアコンの節電~使用量を抑えるポイントとは?~

涼しい!を少ないエネルギーで効率的に行うための2つのキーワードは

  • 遮熱
  • 熱交換
  • 体感温度

です。この3つのキーワードから節電のポイントをご説明します。

2-1.遮熱~太陽の熱をやわらげる~

エアコンは室内の空気の熱を室外機で熱交換をすることで、冷房時は室内に涼しい風が吹き出されます。

気温が高い日中、室外機が直射日光にさらされていると熱交換が上手くいかず、より多くの風を取り込もうと室外機が稼働するため、余計に電気を使用することになります。
室外機を設置する場所は、直射日光を避けた涼しい場所を選べば効率よく熱交換ができるようになります。
既にエアコンが設置されている場合は、庇(ひさし)などで直射日光を避けることも有効です。新しく購入する際は室外機の大きさも確認しながら、最適な設置場所を検討しましょう。

また、室内の温度も上昇しないよう、レースのカーテンやすだれ、緑のカーテン(植物によるグリーンカーテン)などで日差しをカットすることも重要です。
外出時は、昼間でもカーテンを閉めておくと室内温度上昇を抑えることができます。

2-2.熱交換~室内機のフィルター掃除や、室外機の周りのスペースを確保~

室内機は、室内の空気を吸い込み、温度を調節した空気をはき出すことで室内温度を調整しています。
空気の吸い込み部分にあるフィルターが埃などで詰まると、うまく空気を循環させることができず、電気使用量が増加する原因となります。
毎日使うエアコンは、2週間に一度はフィルターを掃除しましょう。

自動フィルターお掃除機能付きのエアコンの場合は、フィルターの掃除はしてくれるものの、ホコリをダストボックスにためるタイプもありますので、取扱説明書に従って、定期的なお掃除をおすすめします。
フィルター自体は、掃除によりキレイになりますが、ニオイがする場合は、内部にカビが生えている可能性があります。
内部の汚れをとりたい方は、安全のためにもハウスクリーニング業者等に依頼されることをおすすめします。

次に室外機は、ファンを回して空気を取り込み、空気を圧縮するとことで熱を移動させ、冷房時は暖かい空気、暖房時は冷たい空気を吹き出しています。
そのため、室外機吹き出し口の周りをスッキリさせ、物を置かないことが重要です。

吹き出し口に壁や物が置いてあるとショートサイクル現象が発生し、吹き出した暖気が吸い込み口に回り込んで、外気が上手く取り込まれず熱交換が効率的に出来なくなり、余計な空気の循環が必要となるため、結果的に余計な電気を使用することになります。
設置する際は販売店や施工店と良く相談して決めましょう。

2-3.体感温度~風を上手に使う~

室内が暑くなったと感じたら、ついついエアコンの設定温度を下げたくなりますが、消費電力が少ない扇風機を併用してみてはいかがでしょうか?

室温と扇風機から送り出される風の温度は同じですが、扇風機の風を肌で受けると体で感じる温度が1℃~2℃ほど涼しく感じます。

エアコンの機種や使用条件にもよりますが、設定温度を下げるよりも扇風機と併用した方が電気の使用量を抑えることができて節電になります。
また、部屋にたまった冷気を撹拌することで室内の温度を均一にしたり、温かくなった空気をエアコンへ押し戻し、改めて冷却してから吹き出すことで効率的に涼しい風を循環してくれるメリットもあります。

今では充電式のハンディーファンなども手軽に購入できて、ピーク時間帯は充電池でファンを回すことで、お家の電気を使用することなく涼しく快適に過ごすことができるものもあります。

エアコンで体を冷やす以外にも、冷蔵庫でキンキンに冷やした水や麦茶で喉を潤すというのも良いですね。
次は冷蔵庫の節電、省エネについてご紹介いたします。

3.冷蔵庫の節電~使用量を抑えるポイントとは?~

冷蔵庫は24時間365日、常に食品を冷やし続けてくれる働き者。

庫内が冷えると自動的に使用量は少なくなるのですが、いつまでも冷えないと働きっぱなしに・・・。実は冷蔵庫もエアコンと同じ熱交換で庫内を冷やしているので、効率的に放熱する必要があります。
しかし、エアコンと違って冷蔵庫には室外機はありません。

ではどこから放熱しているのでしょうか?
メーカーや機種によっても異なりますが、冷蔵庫の側面や天面を手で触ると暖かい部分があります。

その部分から熱を放出しているので、そこに荷物や壁があると上手く熱を放出できずに電力需要が増えてしまうのです。

また、夏は室温も高くなるため、さらに熱の放出がしにくくなります。
では、どうしたら効率的に熱が放出できるのでしょうか?解決策は冷蔵庫と壁との隙間にあります。

冷蔵庫の側面に5cm程度の隙間を開けるだけで空気の通りが良くなり、放熱効率は上がります。

お持ちの冷蔵庫が隙間にピッタリ収まっている場合は隙間を開けることは難しいですが、食器棚や壁との隙間に荷物を置いている場合は、隙間を開けるだけで節電効果が期待できます。これは通年を通して省エネにつながりますのでお勧めです。

4.使った電気がすぐわかる!

電気の使用量を知りたい方には簡単に使用量を測定できる、とても便利な測定装置があります。

使い方は簡単でコンセントに測定装置を差し込み、測定装置についているコンセントへ電気製品をつなぐだけ。家電製品を使用と測定装置で使用量がカウントされ、どのくらい電気が使われているかをリアルタイムで確認できます。

ヒーターの設定を下げたり、家電製品の使用時間を短くしたり、省エネ家電に買い換えた時など、節電や省エネの効果を実感してみてください。

5.まとめ

エネルギーは有限であり、ちょっとした電気の使い方を工夫したり、省エネを実践することで過剰なエネルギーを使わなくても快適に暮らすことは可能です。

特に気温が上がった暑い日は、電気が足りなくなる危険がございます。当社のホームページでは天気予報ならぬ「でんき予報」にて、電力需要の予想を行っておりますので、節電への取り組みの1つの目安としてご利用いただけますと幸いです。

くれぐれも、熱中症にはならないようエアコンの使用を我慢するのではなく、エアコンを上手に利用していただければと思います。

今回のコラムではエアコンと冷蔵庫の節電や省エネについてご紹介いたしました。
今後のコラムでも照明やテレビといった長い時間使用する家電製品についての節電や省エネも紹介していきたいと思います。