東京電力パワーグリット

停電や卒FITに備える!家庭用蓄電池システムのメリットと選び方

近年、太陽光発電で発電した電気の固定価格買取制度の買取期間満了(卒FIT)後に、発電した電気を有効活用するため「家庭用蓄電池システム」の普及が拡大しています。
この蓄電池システムですが、停電時には非常用電源としても活用できるため注目されています。

今回のコラムでは、なぜ蓄電池システムが注目されているのか?わが家に合う選び方は?などの疑問にお答えするため、蓄電池システムの普及が拡大している理由や導入メリット、具体的な選び方について解説いたします。

1.蓄電池システムとは

蓄電池とは、電気を充電できる電池のことで、充電した電気を繰り返し使用(放電)することができるため、二次電池とも呼ばれています。

身近な乾電池を例にして説明すると、充電できないマンガン電池やアルカリ電池を一次電池、充電できるニッケル水素電池やリチウムイオン電池を二次電池と呼びます。

蓄電池から放電された電気は乾電池や自動車のバッテリーと同じ「直流電源」のため、家庭内での家電製品などで使えるように「交流電源」へ変換する機器とあわせて設置(内蔵型の製品もあり)します。また、経済的に使用するため充放電する時間帯を制御する機能が組み込まれたものもあり、それらをまとめて「蓄電池システム」と呼びます。

1-1.蓄電池システムの利用方法

蓄電池の特性である「貯める(充電する)」、「使う(放電する)」を活かした代表的な利用方法として、以下の利用方法があります。

①停電時の非常用電源
②太陽光発電と組み合わせた電気の自給率向上(電気代削減)
③時間帯別の電気料金メニューを利用し、経済的な電力利用

これらの利用方法については後ほど詳しく説明します。

1-2.なぜ近年蓄電池システムの普及が拡大しているの?

蓄電池システムは、近年の甚大な自然災害の影響による長時間停電の発生により、非常用電源として注目されています。
また、環境に配慮して自宅で使用する電力を自然エネルギーでまかなうことを目的に、太陽光発電とあわせて蓄電池システムを導入することも注目されています。

特に2019年度以降、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の買取期間満了(卒FIT)を迎える太陽光発電設備が出てきたことから、買取価格低下に対応するため、蓄電池システムの普及がさらに加速しています。
※再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを 国が約束する制度。買取期間は、家庭用(出力10kW未満)では10年間、産業用(出力10kW以上)では20年間。

出典:一般社団法人日本電機工業会「JEMA 蓄電システム自主統計 2020 年度出荷実績」(2021年6月25日)

2.家庭で使える蓄電池

蓄電池は、使用目的や充電できる電気の量以下、電池容量という。により、様々な種類がありますが、大きく分けると「移動式」と「定置式」の2種類あります。
ここでは、「移動式」と「定置式」の特徴について詳しく紹介します。

2-1.移動式蓄電池

「移動式蓄電池」は単独型とも呼ばれ、持ち運びができる蓄電池のことで、停電時の非常用電源の他、キャンプなどのアウトドアの電源として利用することもできます。

充放電は手動操作で、付属のコンセントへ給電したい電化製品のプラグをつなぐことで利用可能です。容易に取り扱うことができ、設置工事も不要です。
ただし、一般的に電池容量が1kWh未満で出力も定置式に比べて小さいため、消費電力の大きい機器の使用や長時間の給電には向きません。

 

2-2.定置式蓄電池

「定置式蓄電池」は、設置場所が固定されたもので持ち運びはできません。
設置スペースも確保する必要があります。
電源は、分電盤から直接接続されており、設置時には電気工事が必要となります。

停電時は蓄電池に充電していた電気を家庭内で使えるため、出力の範囲内であれば、普段どおり家電製品などを利用することができます。

充放電は基本的には自動制御で行いますが、必要に応じて手動でも操作することができます。
また、HEMSとAI機能により、翌日の天候情報などから最適な電力利用を自動制御することができる製品もあります。
※HEMS:Home Energy Management System(家庭内のエネルギーの使われ方を見える化し、省エネやピーク抑制の制御を行うシステム)

電池容量は約3kWh~約14kWhと移動式に比べ容量も大きいことから、長時間の停電にも対応が可能です。

購入する際の注意点としては、電池容量の大きさで購入コストが違うことと、蓄電池を含めた付属機器の設置費用や電気工事費用が別途必要となります。

一方で、定置式は国や地方自治体の補助金制度が利用できる場合があります。
また、リース制度などの初期投資の負担軽減ができる導入方法もありますので、予算に応じて自分にあった導入方法が選択できます。

3.蓄電池システム導入のメリット

蓄電池システムを導入することで、得られるメリットにはどのようなものがあるのか、詳しく解説いたします。

3-1.非常時や停電時の備えとして活用できる

蓄電池を導入した方からは、停電発生時でも蓄電池システムがあったことで以下のように利用できたとの声がありました。

・携帯電話の充電やラジオを利用することができたため、災害時の家族の安否確認や情報収集ができた。また、簡易避難所として、近所の方々も利用できた。
・夜間に照明や冷暖房機器が利用でき、高齢の家族や、小さな子どもも安心して停電の復旧を待つことができた。
・停電しても自動で蓄電池の電気に切り替わっていたため、停電に気が付かず通常と変わらない生活ができた。

蓄電池は太陽光発電システムと組み合わせることで、太陽光で発電した電気を蓄えることができるため、長期間の停電にも対応することが可能となります。
また、200V機器に対応した蓄電池システムであれば、IHクッキングヒーターやエコキュートを利用することができるため、停電時の調理や給湯などの心配も解消されます。

3-2.太陽光発電システムと組み合わせて経済的に電気を使える

昼間は太陽光で発電した電気を家庭内の家電製品で利用して、余った電気は蓄電池に貯めておきます。夜は昼間に蓄電池へ貯めた電気を利用することで、電気代の節約になりす。

また、昼間の料金が高く、夜間の料金が安い契約(料金プラン)に加入している場合は、昼間は太陽光で発電した電気と蓄電池に貯めた電気を利用することで電気の購入量を少なくし、夜間は蓄電池への充電をすることで電気代を節約することもできます。
※料金プランについては小売電気事業者へお問い合わせください。東京電力パワーグリッドは送配電事業者のため、料金プランについての相談を承ることができません。

3-3.固定価格買取制度満了(卒FIT)後の自家消費に活用できる

再生可能エネルギーの導入促進を加速することを目的に、導入を支援する制度として2012年より固定価格買取制度(FIT制度)が導入されました。
この制度により太陽光発電が普及したことで、製造に関連するコストも低下し、市場価格が低下していることから、FIT制度における太陽光発電の買取単価も年々低下しています。

そのため、これから太陽光発電を導入される方や、FIT制度の買取期間が満了(卒FIT)する方は、太陽光発電の買取単価が購入する電気料金単価を下回ることになるため、太陽光で発電した電気を売電するより、蓄電池に貯めた電気を家庭内で自家消費したほうが、経済的メリットが出る可能性があります。
※経済的メリットは蓄電池導入費用や太陽光発電の設備容量、電気の使い方により異なります。


出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2020エネルギーの今を知る10の質問」(2021年2月)データ引用

4.蓄電池システムの選び方

ご自宅に合った蓄電池システムを選ぶには、適切な電池容量を選定することが重要です。
販売店の方へ相談することも1つの方法ですが、電池容量が大きなものを選ぶほど、導入費用が高くなります。

蓄電池導入の目的に合った電池容量を選定するために必要なポイントについて説明していきます。

4-1.必要な容量で選ぶ

「停電時に使いたい家電製品」と「その利用時間」を想定することで、蓄電池の電池容量の目安を把握することができます。

以下の表は、停電した際に使用したい家電製品を、冷蔵庫、照明3台、TV、エアコンと想定した場合の消費電力量の算定例となります。(各家電製品の消費電力は参考値です。算出時はご自宅の家電製品の表示をご確認ください)
家電製品に表示されている「消費電力(W)」×「利用時間(h)」÷1,000で使用したい家電製品の消費電力量(kWh)が算出できます。
以下の例では、消費電力量が約5.6kWhと算出されましたので、蓄電池の電池容量は5.6kWh以上が目安となります。

 

4-2.停電時に使える範囲で選ぶ

蓄電池の電気を利用する範囲で選ぶことができます。
具体的には、電気を利用したい場所(家電製品)だけに電気を送る「特定回路方式」と、家のすべての場所へ電気を送る「全負荷方式」の2種類があります。

電圧200Vで稼働する家電製品を停電時に利用する場合、「200V対応機種」であることも確認しておきましょう。
200Vで利用する家電製品の例:大型エアコン、IHクッキングヒータ-、エコキュートなど

4-3.太陽光発電システムの出力から蓄電する容量を想定して選ぶ

太陽光発電システムの出力から電池容量を想定するため、太陽光発電システムの発電容量の平均値に近い4.0kWを例として簡易的に計算してみたいと思います。

太陽光発電システムの出力1kWあたり年間約1,0001,100kWhの発電量があると一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)で公表しています。
これらの数値を参考に、蓄電できる電力量を算出いたします。
※発電できる電気は日照時間や天候に大きく左右されますので、あくまでも参考値としてださい。

1日の発電電力量計算例: 4kW×1,000kWh÷365日≒11kWh

1日の太陽光発電での発電量11kWhのうち自家消費率を25%として、残り75%を蓄電した場合、8.25kWhは蓄電が可能となります。

1日の蓄電量計算例: 11kWh×75%=8.25kWh

※自家消費率は環境省2017年度の家庭のエネルギー事情を知る~太陽光発電システムについて~」の「図3 太陽光発電システムの月別発電量・売電量(使用世帯当たり)(平成29年度)」より年間平均自家消費率を算出。
※自家消費率は、ご家庭での電気の使い方により異なりますので、あくまで参考値としてください。発電量から自家消費を除いた実際の売電量を参考にして計算されることをおすすめします。

5.電気自動車(EV)も家庭用蓄電池?

自動車業界ではCO排出削減に向けて電動化が進んでおり、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)などの販売数が増加しています。
それらに車載された蓄電池を蓄電池システムとして、家庭内で使うことが可能となっていることをご存じでしょうか。

5-1.電気自動車(EV)の電力を家庭で使うために必要な機器は?

プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)だけでは家庭内への給電はできません。そのため、V2H(Vehicle to Home)機器を利用して車載電池の充放電を制御して家庭内で電力利用する方法があります。

電気自動車(EV)の電池容量は車種により異なりますが、最新のものでは60kWhを超える電池容量の蓄電池が搭載されています。
定置式蓄電池システムの電池容量に比べると、数倍~数十倍の電池容量となるため、定置式蓄電池システムよりもさらに長時間の給電が可能です。
V2Hを使用することで、PHVやEVを自動車として利用する以外に、蓄電池システムとして家庭内の電力利用に活用することができます。また、太陽光発電で発電した電力をPHVやEVへ充電することも可能です。


出典:一般社団法人日本自動車工業会「次世代自動車(乗用車)の国内販売台数の推移」データ引用

5-2.太陽光発電と組み合わせ電気の自給自足へ

太陽光発電、蓄電池システム、電気自動車を最適に活用することで、停電時の非常電源以外にも、日常的に自家消費を高めることができますので、電気の自給自足も現実の世界になってきています。

国も補助金制度を導入するなどして、ZEH住宅の普及促進をすすめています。
※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス):断熱性能を向上させ、高効率な設備システムの導入による省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅

6.まとめ

FIT制度の買取期間終了後でも太陽光発電システムで発電した電気をお住まいで有効に利用することや、停電時の非常用電源として活用することを目的に、導入が加速している蓄電池システムですが、導入を検討される方は、利用目的にあった機器をご検討ください。

東京電力パワーグリッドでは、皆さまが、より安心・快適な生活を送っていただけるようグループ会社と一体となって快適なくらしのお手伝いを実施しておりますので、蓄電池システムやV2H機器の導入などのご相談やご要望がございましたらいつでも連絡ください。