東京電力パワーグリット

人命に関わる漏電が起こる7つの原因

電気は、安全な状況で使用していれば私たちの生活を快適なものにしてくれます。
しかし、何らかのトラブルが起きている状態で使用をすると、感電や火災など人体に影響を与える危険なものとなります。
その代表的なものが、漏電です。

漏電の時に安全に対処ができるように、漏電が起こる原因や防ぐ方法などを事例とともにご紹介します。

1. 漏電とは

漏電とは、電気配線や電化製品から電気が漏れてしまうことをいいます。
では、どんな状況を電気が漏れているというのでしょうか?

電気は決められた回路を通って流れます。
例えば、照明を点灯させるためには電気が必要となります。
スイッチを入れると、電気配線を通じて照明器具へと電気が流れ始めます。
通常であれば、電気配線や器具は、電気を通さないよう「絶縁」されているため、周辺へ電気が漏れることはありません。

しかし、雨漏りなどで配線や照明器具がぬれたり、電気配線が破損していたりすると、電気は決められた回路から漏れ出てしまいます。
この状況が漏電です。

漏電の怖いところは、漏れた電気が本来の回路から外れてしまい、新しい回路を作ってしまうことです。人が触れてしまえば、人体が回路となって感電してしまいます。また、建物が回路となれば漏電火災が発生する原因となってしまいます。

2.漏電が起こる7つの原因

漏電は、意外と身近なもので起こります。
どんなことで、漏電が起きてしまうのかご紹介します。

2-1.水濡れ

コンセントや電化製品が、水に濡れてしまうことがあります。
水は電気を通しやすい性質(純水を除く)があり、電気が水を伝って正常な回路から外部へ漏れ出し、漏電します。

2-2.電化製品の劣化

長く電化製品を使用していると、本体自体の劣化だけでなく絶縁処理された部分も劣化してきます。

しかし、電化製品の場合は、絶縁処理が劣化してきても問題なく使用できるケースがあるため、漏電の危険性に気づかないことがあります。

2-3.コードやプラグの破損

コンセントから電化製品へと電気をつなぐコードやプラグは欠かせないものです。用途に応じて、屋外用・屋内用・長さや太さなど様々なタイプが用意されています。

しかし、長年の使用をはじめ、コードを引っ張ってプラグを抜いたり、コードを急角度で曲げたり、束ねたまま使用することで過熱して、コードやプラグが溶けたり破損したりする原因になります。

コードやプラグが破損すると、中の導線が剥き出しとなるため、その部分から漏電してしまうおそれがあります。

2-4.家屋の劣化

家屋の劣化も、漏電には大きく影響します。
私たちが家屋の至るところで電気が使えるように、屋根裏や壁の中には、電気配線が張り巡らされています。

そのため、家屋が劣化してくると屋根や壁から雨水が入り込み、雨漏りすることで配線や器具がぬれて漏電することがあります。

2-5.塩害

塩害は、水による漏電とも関係しています。
実は、不純物が混じっていない「純水」なら、濡れても電気が通ることはありません。
では、なぜ水に濡れると漏電してしまうのでしょうか?これは、水の中に不純物が混じっているからです。

海水は、混じっている塩分によって電気を通しやすい状態になるため、電線や電化製品に海水が付着すると漏電の原因となります。

海

2-6.小動物被害

家屋の隙間から入ってくるネズミなど、小動物が電気配線をかじってしまい、傷つけることがあります。これが漏電の原因となります。

また、ペットが電気コードをかじってしまうケースも、少数ですが報告がありますので注意が必要です。

2-7.タコ足配線

家庭において、1箇所のコンセントにプラグが挿せるのは2つほどです。
事足りることもあれば、「もう少しあったら」と思うこともしばしば。そんな時に役に立つのが、電源タップです。

電源タップは、同じコンセントで挿せるプラグが増えるので便利ですが、接続する電化製品が増えたり、配線を無理に取り回したりすることが増えるため、コードが傷つきやすく漏電する可能性が高くなります。

また、1つのコンセントで同時に使用できる電気の大きさは決まっており、電源タップを使用し、タコ足配線でつなぐことで過剰に電気を使用してしまうことがあります。
決められたワット数以上に電気を使用すると、コードが発熱し近くの可燃物に引火することで火災になってしまう危険性もあります。

3. こんな時は漏電しているかも

漏電は目に見えないので非常に気づきにくく、対処が遅れてしまうことがあります。
しかし、些細なことですが、漏電に気がつくポイントがあります。

3-1.ブレーカーが落ちる

だいたいのご家庭では、分電盤の中に漏電ブレーカーがあります。漏電している際には漏電ブレーカーが落ちて建物全体の電気を遮断し、建物内のどこかで漏電していることを知らせてくれます。

さらに、安全ブレーカーを1つずつ上げていきながら場所を特定していきます。漏電している場所が特定できたら、安全ブレーカーを下げて電気工事店等に連絡をしてください。

詳細な復旧方法はこちら
漏電ブレーカーは落ちる?知っておくと安心な5つの知識

3-2.電化製品を触ると痺れる

触れた時に「ピリピリ」と、痺れる感じがしたら、何らかの原因で電化製品が漏電している可能性があります。

触って痺れる感じというのは、すでに感電している状態です。
体の中に微弱な電流が流れたと考えられますが、これ以上の電流が流れると、痛みや呼吸困難など致命傷となる場合があるので、使用するのをやめてメーカーや販売店へ連絡してください。

漏電ブレーカーとアースが設置されていれば、漏電による感電を防ぐことができます。

3-3.雨降りに停電する

建物内で、電気を使いすぎていないのに漏電ブレーカーが落ちて停電する時には、漏電している可能性があります。
屋根や壁が経年劣化してくると、雨が入りやすい部分ができます。そうなると、配線や機器が濡れて漏電してしまいます。

4. 漏電している場所を特定する方法と対処

漏電している時には、電気を使わないことが先決です。
しかし、全ての電気が使えなくなってしまうと生活に支障が出るので、可能な限りで場所を特定して、対処しましょう。

4-1.漏電ブレーカーで確認する方法

漏電している場所を特定するためには、ブレーカーを操作します。
建物のどこかで漏電していると、漏電ブレーカーが落ちます。その場合、全てのブレーカーを一旦落とします。

手順はこちら

① 全てのブレーカーを下げる
② アンペアブレーカーを上げる
③ 漏電ブレーカーを上げる
④ 安全ブレーカーを1つずつ上げていく

安全ブレーカーを上げていくと、どこかで漏電ブレーカーが落ちます。そこが漏電している場所です。

原因箇所の安全ブレーカーを下げておけば、それ以外の場所は今まで通り電気を使うことができます。

4-2.専門家に点検・修理を依頼する

漏電の際、私たちにできることは、この2つになります。

・漏電の場所を特定する
・ブレーカーを落とす

修理が必要かどうかは、専門家に点検してもらう必要があります。
電気工事は非常に危険なので、資格を有する電気工事店等にしか行うことはできません。
漏電を確認したら、放置せず早急に連絡をしてください。

5. 漏電によって起こるトラブル

漏電を放置しておくと、感電や火災の原因となります。
どんなトラブルになるかを理解して、素早く対応してください。

5-1.火災

建物内に漏電した電気が流れることで発熱し、他の可燃物に引火してしまい火災となることがあります。

5-2.感電

人が感電する仕組みをご存知でしょうか?
電流は、高い電圧から低い電圧へと流れる特徴があります。
私たちは、大地の上に立っています。大地は電圧が0Vのため、漏電しているコードや機器に触れると人の体を回路として大地へと電気が流れ、感電してしまいます。

身体に流れる電流の大きさによって感電による反応は違います。

・電流の大きさごとの体の症状

電流値 人体への影響
0.5mA~1mA ・最小感知電流、「ピリッと」感じる、人体に危険性はない
5mA ・人体に悪影響を及ぼさない最大の許容電流値
・相応の痛みを感じる
10~20mA ・離脱の限界(不随意電流)、筋肉の随意運動が不能に
・持続して筋肉の収縮が起こり、握った電線を離すことができなくなる
50mA ・疲労、痛み、気絶、人体構造損傷の可能性
・心臓の律動異常の発生、呼吸器系等への影響
・心室細動電流の発生ともいわれ、心肺停止の可能性も
100mA ・心室細動の発生、心肺停止、極めて危険な状態に

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

「触れてしまった機器やコードを離せば、感電しないのでは?」と思われがちですが、手から離せるのは10mA程度までで、20mA以上は離すことができない状態になります。

感電は、「簡単な作業だから」という油断が招くケースが多いです。
簡単な作業でも、電気工事となるものは必ず電気工事店等に依頼してください。

6. 漏電を防ぐ方法

電気を安全に使用するために、漏電を防ぐ方法も知っておきましょう。

6-1. 漏電事故を防ぐ方法

アース線は大地とつなぎ、万が一家電製品が漏電した時に大地へと電流を逃がして感電を防ぐことができます。

電化製品の本体やプラグ部分にある緑の線がアース線です。
水回りで使用する電化製品、路上にある自動販売機などには、アース線をつけることが法律で定められています。

6-2. 漏電ブレーカーをつける

配線や電化製品の「絶縁」が低下することで、漏電ブレーカーが電気を落とします。
いち早く遮断させることで、感電や火災を防ぐことができます。
漏電を感知して、作動する定格電流は住宅向けの場合30mAとされています。

新築や、築年数の浅い住宅はほぼ100%漏電ブレーカーが取り付けられています。
そのくらい今では当たり前に漏電ブレーカーが普及してますので、もしお家の分電盤に漏電ブレーカーついてなければ、電気工事店等に相談し取り付けるようにしましょう。

6-3.コードを束ねない

電化製品のコードが長いため、コードを束ねて使用する方がいます。
コードを束ねた状態で使用すると、熱がこもり、絶縁処理された被覆が破けたり、被覆の下で配線が切れたりする場合があります。

被覆が破けたら、漏電や火災の原因となるのでコードを束ねて使用することはやめましょう。

6-4.濡れた手で触れない

身近で最も感電してしまう原因となるのが、濡れた手で触ることです。
水は、含まれる不純物によって電気を通しやすい性質となっています。濡れた手で通電部分に触れれば、人体に電気が流れます。

手が濡れている場合はタオル等で拭き、感電を防ぎましょう。

7. まとめ

漏電の原因について、対処方法を含めてまとめてみました。

原因や対処を知ること以上に、大切なのは、漏電していることが分かったら放置しないということです。
感電や火災といった大きな被害になるリスクを速やかに解消してください。

そして、漏電の危険を感じた時には電気工事店等に連絡をしてください。

強い表現になりますが、それだけ漏電には怖くてリスクがあるということを知って欲しいのです。

なお、東京電力パワーグリッドではお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスを実施しています。

  • 電気設備の点検をしてほしい
  • 漏電していないか心配なのでみてほしい
  • プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
  • ブレーカーやコンセント・スイッチを取り替えてほしい

こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。お気軽にご相談ください。
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