交換は簡単?温水洗浄便座の種類やメリット・デメリット、節電方法などを徹底解説!
「いま一番リフォームしたい場所は?」と聞かれた際にトイレを思い浮かべる方は意外と多いのではないでしょうか。
現代社会において快適なトイレ空間に対する需要は、以前とは比べものにならないほど高くなっています。旅行先の観光地などでトイレがきれいに整備されていると、気分がより高まりますよね。
今回はそんなトイレのなかから、年々普及率が高まっており、訪日観光客からも快適性を絶賛されている「温水洗浄便座」について、その種類やメリット・デメリット、節電方法・省エネ性能、取替工事など、気になることを徹底解説いたします。
1.温水洗浄便座の歴史と普及率
今回、温水洗浄便座を徹底解説するにあたって、まずは簡単に温水洗浄便座の歩みと普及率について触れていきたいと思います。
1-1.温水洗浄便座の歩み
日本において初めて温水洗浄便座が発売されたのは1964年。医療・福祉向けの設備としてアメリカで開発・使用されていたものを輸入し販売を開始しました。
国産初の温水洗浄便座が発売されたのは1967年。
そこから温水洗浄便座は日本人の生活スタイルの変化や清潔志向の高まりに合わせて、消費者ニーズを取り入れながら年々普及率を高めていきました。
またその快適性から、日本を訪れた外国人観光客からも、日本人ならではの粋な気遣いができるクールジャパン家電の代表格として注目されています。
1-2.温水洗浄便座の普及率
内閣府が発表している消費動向調査によると、2人以上の世帯における温水洗浄便座の普及率は2021年3月時点で80.3%(1998年3月は33.9%)、100世帯当たりの保有数は113.2台(1998年3月は41.0台)と、すでに生活になくてはならない存在となりつつあります。
※出典:内閣府「消費動向調査 令和3年3月実施調査結果」よりグラフを作成
2.電気温水便座の種類 「貯湯式」と「瞬間式」
そんな温水洗浄便座には「貯湯式」と「瞬間式」という2つの種類があります。
それぞれどのような仕組みや特徴があるのか、解説していきたいと思います。
2-1.貯湯式の仕組みと特徴
貯湯式はタンクの中の水をヒーターで温める方式です。
一度にたっぷりの温水で洗浄することができますが、温水を保温するために継続的に電力を使用します。瞬間式より消費電力(W)は小さくなりますが、タンクの容量までに温水の量が限られます。
2-2.貯湯式のメリットとデメリット
貯湯式のメリット
①初期費用が安い
貯湯式の温水洗浄便座は瞬間式に比べて本体価格が安いため、工事費を含めた初期費用を抑えることができます。
②たっぷりのお湯で使いごこちが良い
タンク内に既に温水の状態で貯湯されているため、温水の供給がスムーズとなり、使い心地を重視される方にはおすすめです。
貯湯式のデメリット
①保温しているため電気使用量が増える
タンク内の水を常にヒーターで温めているため、継続的な電気使用量は瞬間式よりも多くなる傾向があります。
②使いすぎると湯切れのおそれがある
タンク内に貯湯されている温水を一度に大量に使ってしまうと、湯切れが発生する場合や、温水の温度が下がってしまう可能性があります。
貯湯式はこんな人におすすめ
- 初期費用を抑えたい方
- 同居している家族が少ない方
- 使い心地を重視したい方
2-3.瞬間式の仕組みと特徴
瞬間式は洗浄機能を使用する度に水を瞬間湯沸器で温める方式です。
湯切れの心配はありませんが、瞬間的に大きな電力が必要となります。
2-4.瞬間式のメリットとデメリット
瞬間式のメリット
①貯湯式と比べ電気使用量が少なくて済む
瞬間式の温水洗浄便座は水を瞬時に加熱する方式のため、貯湯式のように温水を常に保温しておく必要がありません。そのため、電気使用量は貯湯式より少なくて済みます。
例えば、「省エネ性能カタログ(2022年7月1日)」によると、省エネラベリング制度で最上位評価点(貯湯式:★2.5、瞬間式:★5.0)の機種で比較すると以下のように消費電力量や電気代に差がつくことがわかります。
- 貯湯式の年間消費電力量:193kWh 年間電気代:5,210円
- 瞬間式の年間消費電力量: 72kWh 年間電気代:1,940円
※それぞれ節電機能を使用しない場合での算定値
②瞬間的にお湯を沸かすため湯切れがなく安定して温水が使用できる
瞬間式では使用する際に水を加熱して温水にするため、湯切れの心配がありません。
そのため、安心して温水を使用することができます。
③見た目がスマートでコンパクト
貯湯式のようなタンクを必要としないため、瞬間式の温水洗浄便座はすっきりとスマートでおしゃれなデザインが多くなっています。
瞬間式のデメリット
①瞬間式の方が初期費用が高い
貯湯式と比べて全体の機能やデザイン性が充実しているため、本体価格が高い傾向にあります。
②消費電力が大きいためブレーカーが動作する可能性がある
瞬時に大きな電力でお湯を沸かすため、使用時には1,000W~1,300W(10A~13A)程度の大きな電力を消費します。
消費電力の大きな他の製品と同時に使用する際などは、契約容量やブレーカーのアンペア数によってはブレーカーが落ちて停電する可能性があります。
瞬間式はこんな人におすすめ
- 通年の電気代を節約したい方
- 同居している家族が多い方
- おしゃれなトイレ空間を実現したい方
3.温水洗浄便座の便利機能
温水洗浄便座の基本機能である「便座暖房」と「温水洗浄」の他にも便利な機能がついています。
ここでは、最近の温水洗浄便座に備わっている便利機能についていくつか紹介したいと思います。
3-1.フタ自動開閉機能
センサーで人を感知することで便器のフタの開閉を自動で行ってくれる機能です。
フタの閉め忘れによる便座の放熱を抑えることで節電につながるとともに、コロナ禍においては「触れなくてもいい」というメリットもあります。
腰痛を患っている方などはフタの開閉のたびにかかる腰の負担を減らすこともできます。
また、トイレに入った瞬間におもてなしされているような特別感も得られるのではないでしょうか。
3-2.ノズルの自動洗浄機能
温水洗浄便座を使用するにあたって最も気になってしまうところがノズルかもしれません。
お手入れや掃除が難しく、ついつい汚れがちになってしまいがちですが、自動洗浄機能が付いていれば、清潔なノズルで衛生面でも安心して使用することができます。
3-3.温風乾燥機能
洗浄した部分を温風で乾燥してくれる機能です。
温水洗浄便座を導入するだけでも、温水で汚れが落ちるため、トイレットペーパーの節約につながりますが、乾燥機能があれば、さらにトイレットペーパーを節約できます。
乾燥するまでにある程度時間はかかってしまいますが、一般社団法人 日本トイレ協会の調査によると、4人家族(男女各2名)での1か月のトイレットペーパー平均使用量は約16.8ロール(ダブルの場合約33ロール)ということですので、トイレットペーパー代を少しでも削減したい方にはおすすめの機能です。
出典:一般社団法人 日本トイレ協会「表2.1人あたり1か月トイレットペーパー使用量の目安」(https://j-toilet.com/)
3-4.その他の便利機能
温水洗浄便座にはそのほかにも以下のような機能がついたものがあります。
トイレ空間をより快適にするため、自分にとって必要な機能かどうか検討いただき、商品を選択されることをお勧めいたします。
除菌機能
除菌水を噴射したり、イオンで浄化したりと、除菌機能のついた温水洗浄便座もあります。
脱臭機能
文字通り脱臭してくれる機能です。
便座内の空気を吸い上げて脱臭するものや、イオンを放出して空間を脱臭するものなどがあります。
4.温水洗浄便座の節電方法・省エネ性能
続いては温水洗浄便座の上手な節電方法や、省エネ性能が優れた温水洗浄便座の選び方ついて紹介いたします。
4-1.使わないときはフタを閉める
温水洗浄便座には暖房便座機能がついていることが多いですが、フタを開けたままにしておくと余分な電力を消費してしまいます。
省エネ性能カタログによると、使用しないときはフタを閉めることで年間約34.9kWh(約940円)の省エネ効果が期待できます。
4-2.暖房便座と洗浄水の温度は低めに設定する
暖房便座や洗浄水の温度設定を年間通して1段階下げた(中→弱)場合、暖房便座では年間約26.4kWh(約710円)、洗浄水では年間約13.8kWh(約370円)の省エネ効果が期待できます。
夏場は、保温便座や温水をオフにすることで、さらなる節電につながりますので、まずはご自宅の設定を確認されることをおすすめします。
4-3.購入時には省エネ性能が高い製品を選ぶ
温水洗浄便座の購入や買い替えを考えていて、省エネ性能が高いものを選びたい場合は、2006年10月から開始された「統一省エネラベル」や、省エネ性能カタログを参考にすることをおすすめします。
統一省エネラベルは以下の図のように5つの★で省エネ性能を評価しており、★が多いほど省エネ性能が高いことを意味しています。
省エネ性能カタログでは「電気便座」として機種ごとに性能評価が一覧で掲載されています。
年間の電気代目安も掲載されていますので、家電を購入する際の参考になるのではないでしょうか。
省エネラベルや省エネ性能カタログについては、以下のコラムで詳しく解説していますので、興味のある方は、こちらもあわせてご覧ください。
あわせて読みたい関連コラム:省エネ家電製品の選び方
5.温水洗浄便座の耐用年数・寿命
経済産業省のホームページに掲載されている温水洗浄便座の安全啓発パンフレットによると、温水洗浄便座の想定安全使用期間は約10年とされています。
水回り機器かつ経年劣化や故障を見落としがちであるため、点検をされないままの長期間の使用は、発煙・発火、やけど、感電・漏電、漏水といった事故につながるおそれがあります。
過去に東京電力パワーグリッドが、お客さまから要請を受けて停電原因調査をした結果、温水洗浄便座が起因してブレーカーが落ちていたケースもあります。
以下のような異常が見受けられる場合、電源プラグを抜き、止水栓を止めるといった応急処置をしたうえで点検や取り替え依頼をされることをおすすめします。
安全チェックポイント
- トイレが焦げ臭い・いつもと違う臭いがする
- 便座がときどき冷たい
- 便座やお湯や温風が異常に熱いときがある
- 便座ががたつく・ゴム足が外れている
- 便座のコードや電源コードに発熱、傷、焦げ、変色がある
- 便座にヒビ割れがある
- 水漏れしている・使う時だけ少量の水がたれて水漏れする
6.温水洗浄便座の設置・取替工事
リフォームや買い替えを検討していても、いざ工事となった際に長時間トイレが使用できない状況を考えると、つい二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは温水洗浄便座へ取替を行なう際の工事内容について簡単に解説していきます。
6-1.取替前には便座サイズを確認する
便座を取り換える際には既存便座のサイズ確認が重要です。
便座には2通り(標準・大型)の大きさがあるため、既存の便座の型式からサイズを検索するなどして、適したサイズの便座を選ぶ必要があります。
なお、温水洗浄便座はほとんどがフリーサイズの製品となっているため、便座と便器の長さが完全に一致しない場合がありますので、ご注意ください。
6-2.温水洗浄便座の交換なら1~2時間ほどで完了
温水洗浄便座の取替工事の流れとしては以下のような流れになります。
- 便器まわりの止水
- 古い便座の取外し
- 取外し後の便器部分の掃除
- 温水洗浄便座の取付け
- 温水洗浄便座の給水ホースを分岐金具へ接続
- アース線・コンセントの接続と漏水確認
- (操作リモコンがある場合)操作リモコンの取付け
現地の設置状況によって作業時間が前後する場合がありますが、標準的には1~2時間程度で新しい温水洗浄便座に取替をすることができます。
温水洗浄便座の取替や設置については、販売店やリフォーム会社にご相談ください。
なお、温水洗浄便座の「取替工事」は、東京電力パワーグリッドでも承ることができます。
無料見積もりやご相談は、こちらからご依頼できます。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。温水洗浄便座を導入することで、おしりを清潔に保つことができ、より快適なトイレとなり、トイレットペーパーの節約にもつながるなど、多くのメリットがあると言えます。
これまで、貯湯式、瞬間式といった種類の違いや特徴、取替方法など解説してきましたが、このコラムがみなさまのライフスタイルにあった温水洗浄便座選びに少しでもお役に立てば幸いです。
東京電力パワーグリッドでは、この他にもお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスも実施しています。
温水洗浄便座を使うとブレーカーが落ちるといった不具合の際には、その原因調査や漏電調査も承ります。
- 電気設備の点検をしてほしい
- 漏電していないか心配なのでみてほしい
- プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
- 焦げたり差し込みのゆるくなったコンセントを取り替えてほしい
- 分電盤やブレーカー、スイッチを取り替えてほしい
こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。
お気軽にご相談ください。
24時間365日受付しております。詳しくはこちら。