東京電力パワーグリット

「ブレーカーはなぜ落ちるの?」 ブレーカーの落ちる原因や電気の基礎知識について

朝の忙しい時間や寒い時期にブレーカーがよく落ちることがありませんか?
また、梅雨の時期や台風などで漏電ブレーカーが落ちるようなことがありませんか?

ここでは、ブレーカーの種類や落ちる原因と電気の基礎知識(漏電や短絡など)について解説していきます。

1.ブレーカーの種類と落ちる原因について

住宅には台所・洗面所・クローゼットに分電盤が設置されています。分電盤の中には形が違うブレーカーが設置されており、それぞれのブレーカーによって落ちる原因が異なります。

それでは、どのブレーカーがどのような時に落ちるのかご説明します。

 

1-1.アンペアブレーカーとは?

分電盤の左端についているブレーカーです。
アンペアブレーカーは、家全体で同時に使用できる電気の大きさを電気の契約アンペアまでに制限するものです。

<アンペア(A)とワット(W)の関係>

例えば、ご契約が30Aの場合、家全体で使用できる電気は30A(消費電力の合計が3,000W)になります。
通常、家電製品の消費電力はワット(W)で表示されていますが、電圧100Vで割るとアンペア(A)に換算することができます。
例えば、1,000Wの家電製品は、1,000W÷100V=10Aとなります。
契約アンペア10Aあたり、1,000Wまでの家電製品が使えると覚えておくと分かりやすいです。

<使い過ぎによる動作>

アンペアブレーカーが落ちる主な原因は、電気の使い過ぎです。
例えば、ドライヤー1,200W・炊飯器(炊飯時)1,000W・エアコン(立ち上がり時)1,200W・電気ポット(湯沸かし時)1,000Wを同時に使用すると、合計で4,400W(44A)となり、ブレーカーの容量30A(3,000W)を超えてしまいますので、アンペアブレーカーが落ちます。
※消費電力は一例であり、機器や使用状態によっても異なります。

アンペアブレーカーが落ちる主な原因は、電気の使い過ぎです。
電気の使い過ぎでアンペアブレーカーを落とさないようにするためには、家電製品のワット数を確認し同時使用を避けましょう。

それでもアンペアブレーカーが落ちてしまうようなら、「契約している電力会社」(小売電気事業者)へ連絡し、契約アンペアを変更して同時に使えるアンペア数を増やすという方法もあります。(一般的に契約アンペアを大きくすると毎月の基本料金が増加します。基本料金については契約している電力会社のホームページ等でご確認ください。)

※スマートメーターが取り付けられているご家庭の場合、スマートメーターに内蔵され ているアンペアブレーカーの機能により契約アンペアを設定している場合があります。
この場合、下図のようにアンペアブレーカーは取り付けられておりません。(使いすぎの場合は10秒後に自動復旧します)

スマートメーターのアンペアブレーカー機能により契約アンペアが設定されている場合の例

<短絡(ショート)による動作>

また、アンペアブレーカーの容量を超えていないにも関わらず、ブレーカーが落ちる場合は、家電製品の故障や傷ついたコードの短絡(ショート)により大電流が流れブレーカーが落ちているケースがあります。
※短絡については、「2.電気の基礎知識」でご説明します。

調子の悪い家電製品やコードに傷がある場合はご使用を避け、点検(修理)もしくは買い替えをおすすめします。

1-2.漏電ブレーカーとは?

ブレーカーに黄色または白色や、灰色または赤色のボタンがついているのが漏電ブレーカーです。

  • 黄色または白色のボタン:漏電や過電圧といった異常発生により動作したことを示すボタン
  • 灰色または赤色のボタン:漏電ブレーカーが正常に動作するか定期的にチェックするためのテストボタン(テストボタンを押した時に漏電ブレーカーが動作し電気が消えれば正常)
漏電ブレーカー

漏電ブレーカーは、以下のようなときに異常をすばやく感知して自動的に電気を遮断し、配線の保護や、感電事故や漏電火災を防止するために取り付けられています。

  • 住宅の中の配線や家電製品が漏電した場合
  • 配線や家電製品が短絡した場合
  • 異常電圧が発生した場合
  • 漏電ブレーカーの容量を超えて電気を使用した場合

※漏電や異常電圧については、「2.電気の基礎知識」でご説明します。

漏電ブレーカーが動作した場合の復旧方法は、こちらをご確認ください。

また、漏電ブレーカーを動作させないためには、故障した家電製品や傷ついたコードを使用しないだけではなく、定期的な安全点検をおすすめいたします。

ブレーカー自体の交換推奨時期は13年~15年程度と言われており、長く使用することで経年劣化により誤作動してしまうことがあります。製造年が古い場合は、取替のご検討をお願いいたします。

安全点検やブレーカーの交換は、電気工事店等にご依頼ください。
なお、東京電力パワーグリッドでも承ることができますので、お気軽にご相談ください。
(サービス内容と料金はこちらをご覧ください。)

電気の安全点検

 

1-3.安全ブレーカー(配線用遮断器)とは?

漏電ブレーカーの右側に複数ある小さなブレーカーが安全ブレーカー(配線用遮断器)です。

1つの回路で使用ができる電気は20A(100V回路の場合、消費電力2,000W)が目安となります。
安全ブレーカーは各部屋の電気の使い過ぎを監視しています。なぜ、20Aの監視をしているかというと、お家のなかの大半の配線は20A以上の電気を流すことができないからです。20A以上の電気をある一定時間流すと、配線が熱をもち火災になるおそれがあるからです。

例えば、台所回路で炊飯器(炊飯時)1,000W・電子レンジ1,000W・オーブントースター600Wを同時に使用すると合計で2,600W(26A)となり、安全ブレーカーの容量20A(2,000W)を超えてしまうのでブレーカーが落ちます。

また、アンペアブレーカーと同様に容量を超えていなくても、短絡で落ちる場合があります。

※100Vコンセントの定格容量は通常15A(1,500W)であり、同一コンセントで電子レンジ1,000W・炊飯器(炊飯時)1,000Wを同時に使用すると合計で2,000W(20A)になるため、コンセントの容量15A(1,500W)を超えることになり、繰り返し使用しているとコンセントが溶けて火災に繋がるおそれがありますので、同時使用は避けてください。
また、アンペア数の大きい家電製品は、使用時に15A以下(100V機器の場合、消費電力1,500W以下)となるよう別々のコンセントで使用することをおすすめいたします。

2.電気の基礎知識

2-1.漏電とは

家電製品や配線については、電気が漏れないように「絶縁」という処理が施されております。

ところが、家電製品や配線が古く(劣化)したり・傷ついたり・故障により水漏れなどで「絶縁」が悪くなって、電気が漏れてしまうことを漏電といいます。

2-2.短絡(ショート)とは

電気は決められた道を通らなければいけませんが、決められた道を通らないで通りやすい道(近道)を通って流れることにより、大きな電流が流れることを短絡(ショート)といいます。

例えば、配線の被覆が古くなり破れて2本の導線がむき出しなって導線同士が接触すると大電流が流れます。これが短絡(ショート)です。

また、コンセントに繋がっている延長コードを誤ってペンチなどで切断してしまった場合も大電流が流れ短絡(ショート)してしまいます。

2-3.アンペアブレーカーと漏電ブレーカーの違いは?

アンペアブレーカーと漏電ブレーカーのアンペア数の表記が同じでも構造が違うため、同時に使用できる電気の大きさが異なります。

例えば、30Aと表記されているブレーカーに単相3線式配線の赤相・黒相ともに20Aが流れた場合で説明します。

<アンペアブレーカー>

アンペアブレーカー

アンペアブレーカーに流せる容量は、赤相と黒相の合計となります。ブレーカーの表記が30Aのため、合計30A(消費電力の合計が3,000Wまで)となります。

上の絵の場合、赤相・黒相ともに20Aが流れるため、合計で40Aとなり、ブレーカーは落ちます。

<漏電ブレーカー>

漏電ブレーカー

アンペアブレーカーとは違い、漏電ブレーカーは赤相に30A・黒相に30A流すことができますので、60Aまで (消費電力の合計が6,000Wまで) 使用することができます。

赤相・黒相ともに20Aが流れても漏電ブレーカーは落ちません。
ただし、どちらかの相で30Aを超えた場合、漏電ブレーカーは落ちます。そのため、赤相と黒相で使用している機器に偏りがあると消費電力の合計が6,000Wを超えていなくても、使いすぎにより漏電ブレーカーが動作する場合があります。

2-4.異常電圧とは

単相3線式100V/200V配線では、中性線(白相)の断線や接続箇所の接触が悪くなると、電圧が不安定となり異常電圧が発生します。

異常電圧が発生すると定格電圧100Vの家電製品が故障することがありますので、単相3線式のご家庭は中性線欠相保護機能付き漏電ブレーカーの取付や取替を推奨します。

ここでは異常電圧について説明します。

中性線欠相による異常電圧

中性線が正常であれば、照明小の電圧(赤-白)は100Vで、照明大の電圧(白-黒)も100Vになります。

しかし、中性線の接続箇所の接触が悪くなる(中性線欠相する)と、電圧のバランスが崩れます。

他に接続された機器がない場合、赤相に接続されている照明小は143Vになり、黒相に接続されている照明大は57Vになります。小さい負荷(照明小40W)に過大な電圧が加わってしまうため、家電製品が壊れてしまう場合があります。

<計算式>
・抵抗値
 照明は白熱電球(抵抗負荷)として抵抗値を計算。
 抵抗=電圧×電圧÷消費電力
 照明小抵抗=100V×100V÷ 40W=250Ω
 照明大抵抗=100V×100V÷100W=100Ω

・中性線欠相時の電圧
 中性線欠相により、(赤-黒)200V回路に照明小と照明大が直列接続された回路として電圧を計算。
 照明小電圧=200V×250Ω/(100Ω+250Ω)=143V
 照明大電圧=200V×100Ω/(100Ω+250Ω)= 57V
※直列接続の場合、抵抗値の大きい方(照明小)により高い電圧が加わります。

3.まとめ

今回はブレーカーの落ちる原因や電気の基礎知識について、ご説明いたしました。

一言にブレーカーが落ちるといっても、ブレーカーの種類によって動作原因が違うことがお分かりいただけましたでしょうか?

ブレーカーは火災や感電を未然に防止してくれるものです。

そのため、ブレーカーが落ちたからといって、焦ったり怖がったりする必要はありません。落ち着いてブレーカーが落ちた時の状況を思い出し、適切に対応をしてください。

なお、東京電力パワーグリッドではお客さまが電気でお困りのことや、みてもらいたいことなど、ご家庭の電気安全のご相談にお応えするコンサルトサービスを実施しています。

  • 電気設備の点検をしてほしい
  • 漏電していないか心配なのでみてほしい
  • プラグやコードの正しい使い方を教えてほしい
  • ブレーカーやコンセント・スイッチを取り替えてほしい

こんな時には、お客さまの屋内配線などを東京電力パワーグリッドが測定器を使って診断します。お気軽にご相談ください。
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